ニューズレター
燁聯社と唐栄社の事業結合申請案
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公平交易委員会(※「公正取引委員会」。英語名はFair Trade Commission。以下「公平会」とする)は2009年5月6日の第913回委員会議において、燁聯鋼鉄股份有限公司(YUSCO。以下、「燁聯社」とする)が唐栄鉄工廠股份有限公司(TANG ENG IRON WORKS。以下、「唐栄社」とする)の34%以上の株権を取得し、「公平交易法」(※「公正取引法」と訳すことができ、日本の不正競争防止法、独占禁止法の要素が含まれる)の規定により公平会に対し事業結合を申請した案件について、その結合を禁止する決議を行った。 |
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公平会は、「ステンレススチール産業の市場はグローバル化されており、関連製品は世界規模で流通する商品であり、価格も国際情勢に左右されるが、公平会が調査したところ、輸入は依然として地縁要素によるものがあり、且つ比較的長い納期、国際的な原料情勢の波、為替リスク、輸入原料の供給の不安定さ及び品質管理の難しさ等の要素による影響を大きく受ける。また、本案結合後、その国内市場占有率が2分の1以上に達することに鑑みれば、結合に参加する事業者間の競争面における圧力はある程度消減することになり、これまで単独で商品価格の調整を行う際に抱いていた懸念が減少するため、商品価格に対する影響力がさらに高まり、さらには統一価格又は連合して価格を引き上げるといった共同効果を生じる可能性がある。当該投資案の結合は、コスト削減、経済規模の拡張、国際競争力の向上を促すものの、当該案結合後、もし下位業者の輸入が阻まれ、国内市場の集中が進み且つ結合事業者の市場占有率が高まるのであれば、国内ステンレス産業の中間業者及び下流業者に影響を及ぼし、且つ国内市場の競争効果を弱めることになる」としている。 |
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ステンレススチール産業の生産技術は既にかなり成熟しているものの、工場建設期間及び熱間圧延機、冷間圧延機の投資コストを考えると、依然として一般産業から容易に転換、参入できるものではなく、潜在的な競争者が参入する可能性及び適時性は極めて低い。また、結合に参加する事業者は、結合前の市場占有率がそれぞれ1位、2位の大手メーカーで、互いに主要な競争相手であり、結合後、燁聯社と唐栄社の間の相互牽制力は弱められ、結合に参加する事業者間の競争はある程度消減することになり、これまで単独で商品価格の調整を行う際に抱いていた懸念が減少するため、商品価格に対する影響力がさらに高まり、ステンレススチールシート類市場の競争機能を損なうことになる。その競争制限により生じる経済全体にもたらす利益より大きい。そこで公平会は、「公平交易法」第12条第1項の規定により、その結合を禁止した。 |
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燁聯社は公平会の決定を不服として、既に行政院に訴願を提起した。燁聯社は「以前、中鋼が行った中鴻との結合案では、その市場占有率は80%以上にも達したが、公平会は『カーボンスチールの熱間圧延及び冷間圧延はグローバル化された流通商品であり、世界中の大手メーカーとの競争に臨まなければならず、また、WTOの枠組みにおいて、加盟国の鉄鋼品目は全てゼロ関税の自由貿易を採用しており、当該結合案は市場参入の障壁とならない』と認め、当該2社の結合に同意した」と述べ、さらに「燁聯と唐栄の結合案は、その結合方式、市場占有率、産業内容、国内外における競争環境及び上下流業者に対する影響、いずれにおいても、中鋼及び中鴻の結合案とほぼ完全に同じであるのに、公平会は『燁聯と唐栄の結合後、ステンレススチールシート市場における占有率が50%を超えるため、市場競争機能が損なわれることになる』として、その結合を禁止した。燁聯社は当該決定を受け入れることはとうていできず、故に、訴願提出を決定した」としている。 |