ニューズレター
海外企業台湾投資規制の緩和措置
海外企業の台湾証券市場への投資を促進することによって、我が国(台湾)の資本市場の国際化を推し進めるとともに、台湾系企業の海外子会社又は海外持 株会社の台湾での資金調達及び上場を促進するため、行政院は2008年3月、6月及び7月にそれぞれ「推動海外企業来台掛牌123計畫」(「海外企業台湾 上場推進のための“1-2-3”計画」)、「調整放寬両岸証券投資方案」(「両岸証券投資調整プラン」)及び 「海外企業来台上市鬆綁及適度開放陸資投資国內股市方案」(「海外企業の台湾上場及び中国資本の台湾株式市場投資に対する規制緩和プラン」)等の政策を可 決し、一連の法改正を推し進めた。店頭市場である「中華民国証券櫃台買売中心」(「中華民国証券店頭売買センター」。英語名はGre Tai Securities Market 、以下「GTSM」という)及び台湾証券交易所(「台湾証券取引所」)もこれに合わせて次々と外国有価証券の店頭売買又は上場に係る審査準則及び関連作業 手続きの改正を行った。主な規制緩和の内容は次のとおり。
- 海外企業の台湾での第一上場(店頭公開)の資格制限を緩和。
- 香港証券取引所の上場(店頭公開)企業は台湾で第二上場(店頭公開)することができるよう規制を緩和。
- 海外企業が台湾で調達した資金の用途についての規制を廃止する。
- 台湾香港のETFの相互上場(店頭公開)を開放。
- 基金形態の外国機関投資家(FINI)の「無中国資本声明書」の提出免除。
- 中国の適格国内機関投資家(QDII)による台湾での証券・先物への投資を開放し、関連メカニズムは、現行の外国資本についての 規範に照らす。
「金融監督管理委員会」(英語名は
Financial
Supervisory
Commission、以下「FSC」という)及びGTSMのもともとの関連規定によれば、国内の公開発行会社のみが新興株式市場(Emerging
Stocks Market
、以下「EMS」or「新興市場」という)への登録を申請することができ、さらには上場(店頭公開)を申請することができる。したがって、これまで登録地
が台湾ではない海外企業は、台湾でEMSへの登録及び第一上場(店頭公開を申請することができなかった。しかし、FSC及びGTSMは既に「外国発行人募
集與発行有価証券処理準則」(「外国の発行人が有価証券を募集及び発行する際の処理準則」)及び「買賣興櫃股票審査準則」(「新興株式市場(EMS)の株
式の売買に係る審査準則」)等の関連規定を改正、公布し、海外で登録が成立しているものの、まだその他の証券取引市場では上場(店頭公開)されておらず、
且つ「台湾地区與大陸地区人民関係條例」(「台湾地区と中国地区の人民関係條例」)の関連規範に違反していない会社は、2社以上の適格証券会社から書面に
よる推薦を受ければ(但し、1社を主幹証券会社に指定しなければならない)、国内企業に照らしてGTSMにEMS取引を申請することができる。EMS取引
を6ヶ月以上行った後、もし上場(店頭公開)の条件を満たせば、上場(店頭公開)を申請することができる。また、行政院は現在も「台湾地区與大陸地区人民
関係條例」の改正を検討しており、原則として、中国地区で登記、登録されていない会社であれば、全て台湾で上場(店頭公開)を申請することができる。当該
企業に中国資本が含まれているか否か、及び中国資本の持株比率については、制限を行わない予定である。
これまで香港証券取引所は我が国(台湾)が承認した
外
国の
証券取引所ではないため、香港証券取引所で上場(店頭公開)している企業は台湾で第二上場(店頭公開)を申請することができなかった。しかし、FSC、台
湾証券取引所及びGTSMは既に2008年6月27日に関連規定を改正、実施し、香港証券取引所を主務官庁の認可する外国証券取引所の1つとした。した
がって、今後、香港証券取引所で上場(店頭公開)した企業は、台湾で第二上場(店頭公開)を申請することができる。
これまでの法令では、我が国の主務官庁の認可した外
国
証券
取引所で上場されている海外企業の台湾での第二上場(店頭公開)を認めていたものの、わずか5社の海外企業のみが台湾預託証券発行方式によって台湾での上
場(店頭公開)に成功しているにすぎず、主に次に挙げる規制ゆえに、台湾での上場(店頭公開)に対する海外企業の興味を削ぐ結果となっている。その規制と
は、①海外企業の中国に対する投資が当該企業の純資産の特定比率を超えている場合、台湾で上場(店頭公開)することができない、②台湾証券市場で集めた資
金は直接又は間接的に中国地区への投資に用いることができない、の2点である。しかし、FSCは既に2008年7月31日に「外国発行人募集與発行有価証
券処理準則」の第7条及び第9条の規定を改正し、上記関連規制を削除している。したがって、今後、企業が台湾での資金調達で得た資金は、中国地区への投資
にも用いることができ、海外企業の台湾での第二上場(店頭公開)意欲を高めることができるはずである。
基金投資において、主務官庁はまず台湾国内の業者が
募
集す
る上場投資信託(以下「ETF」という)を香港で上場(店頭公開)することができるよう規制を緩和することを検討し、並びに平等互恵原則に基づいて、香港
のETFを台湾で上場(店頭公開)取引することに同意し、これによって、中国資本が香港で我が国の有価証券に投資することを間接的に開放するという目標を
達成した。関連法令の改正は既にFSCによって可決されており、近日中に正式に公布される予定である。
台湾証券取引所はFSCの通達を遵守し、既に
2008
年7
月7日に「華僑及外国人申請投資国内有価証券或従事国内期貨交易登記作業要点」(「華僑及び外国人の国内有価証券投資申請又は国内先物取引従事に係る登記
作業要点」)の関連書類の改正を公告し、FINIが台湾国内の証券及び先物市場へ投資を行う際、「無中国資本声明書」(即ち、中国資本ではない旨の声明
書)の提出を免除することを認めた。基金形態ではない外国の投資家が国内の証券及び先物市場に参与する場合については、依然として、登記時に、投資する予
定の資金が中国地区からのものではない旨の声明書を提出しなければならない。
中国では、現在、自国のQDIIにのみ国外の証券投
資に従
事することを許可しており、さらに一歩踏み込んで、QDIIがある国又は地域の証券資産に投資する場合、もし当該国又は地域が既に中国と双方の管理監督協
力について覚書(MOU)を結んでいるのであれば、一つの基金又は集合計画資産の投資制限額はその純資産の10%であり、結んでいないのであれば、投資制
限額はその純資産の3%となる。行政院は先ごろ、中国のQDIIによる台湾での証券・先物への投資を開放し、その関連メカニズムについては、現行の外国資
本についての規範に照らして、さらに一歩踏み込んで法規定を改正する旨決議した。