ニューズレター
実施権設定未登録の特許実施権者は、第三者に警告状を出すことができない
「公
平交易委員會」(「公正取引委員会」。英語名はFair Trade Commission、以下「FTC」or「公平會」という)は2008年7月16日の第871回委員会において、「実施権設定の登録を行っていない特許実施権者は、第三者に対し警告状を発することができ
ない」旨決議した。
「専利法」(※日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)第84条第2項の規定によれば、発明特許権が侵害を受けた場合、特許の専用実施権者は損害賠償を請求することができるほ
か、侵害の排除も請求することができる。侵害のおそれがある場合は、その防止を請求することができる。しかし、専利法第59条には別に、「特許権の実施権設定は、特許主務官庁に登録しなければ、第三者に対抗することができない」と規
定されている。この「第三者に対抗することができない」とはいったいどういう意味なのか、権利を行使することができないという意味も含まれているのかにつ
いては、実務上の見解にかなりのばらつきがある。FTCはある個別案について、「特許権の専用実施権者は、実施権設定の登録が完了するまで、第三者に対抗して合法的
に権利を行使することができない。もし(実施権設定登録完了前に)市場において第三者に書状を送付し、その特許が侵害を受けたと主張するのであれば、(か
かる行為は)既に、商業競争の倫理上、非難されるべき性質を有し、取引秩序に影響を及ぼすに足る、明らかに公平さを欠いた行為に属し、『公平交易法』第24条の規定に反する」と認めている。