ニューズレター
所得税法改正
所得税法改正条文は、既に2007年7月11日に総統により公布され、7月13日に施行されている。今回の改正内容は主に以下のとおりである。
一、債券利息所得課税規定
これまで、個人の所有する債券の利息収入については、毎年の総合所得総額に計上して確定申告を行い、毎年27万台湾元の貯蓄投資特別控除規定が適用されてきた。債券がしばしば利払日と利払日の間に売買され、個人所有者の場合には帳簿を設けて記載することがないため、個人が実際に債券を所有した期間、利息所得及び源泉徴収された税額に関する計算及び認定が困難であった。そこで、新たな規定では、個人の所有する公債、社債及び金融債券の利息所得には分離課税制度を適用するよう改められた。その結果、今後、当該利息所得は総合所得総額に計上されず、貯蓄投資特別控除規定も適用されず、源泉徴収された税額を個人総合所得税確定申告の納付しなければならない税額から差し引くこともできなくなる。当該分離課税の規定は2007年1月1日まで遡って実施されるため、税金の還付、追納の問題が生じることのないよう、財政部では暫定的な分離課税率として現行の10%に照らした利息所得源泉徴収税率を予定するとともに、既に各種所得源泉徴収率規則の改正に着手したとのことである。このほか、所得税法第14条の1の立法理由では、施行細則に利息所得の計算方法を明確に規定しなければならない、と指摘している。
営利事業者の所有する債券の利息収入については、営利事業者は法に依り帳簿を設けて記載しなければならないので、当該事業者が実際に債券を所有した期間、利息所得及び源泉徴収された税額はいずれも帳簿の記載記録に依り調査確認及び認定することができる。そのため、営利事業者は債券所有期間に応じて債券の額面価額及び利率に依り利息収入を計算しなければならず、源泉徴収された税額は営利事業所得税決算申告の納付しなければならない税額から差し引くことができる旨規定されている。営利事業者が利払日と利払日の間に債券を購入し、利払日の間に売却するのであれば、売却価格を購入価格及び上記規定に依り計算した利息収入から差し引いた後の残高を証券取引上の所得又は損失としなければならない。
前記改正は、現行の有効な解釈通達(財政部750716台財税第7541416号)における営利事業者の所有する債券の利息収入に関する課税規定を、法律上、確実に実行するものであり、決して現行の税務処理方法を変えるものではない。
二、引受(売却)証明発行人の行うリスクヘッジ取引に係る損益に関する課税規定
所得税法第4条の1及び2の規定に依れば、引受(売却)証明発行人がリスク管理に基づいて売買する、目的事業主務機関の許可を受けた有価証券及び金融派生商品(デリバティブ)の取引利益又は損失が証券取引及び先物取引税を課税徴収しなければならない先物取引損益に属する場合、本来であれば、証明発行損益に計上して課税することはできない。しかし、上記取引が引受(売却)証明発行に必要なリスクヘッジ措施で、且つ証明発行から派生する取引である場合、「コスト収入の均衡」、「租税公平」及び「数量相応課税」の原則、そして国際慣例に合致させるため、改正条文には、上記取引に対しては第4条の1及び4条の2の規定を適用せず、証明発行損益に計上して課税しなければならない旨明確に規定されている。また、発行人が取引を通じて、法に従い、自営部門に関わる控除できない証券又は先物取引損失を引受(売却)証明リスクヘッジ取引の損失に転換して差し引くことができないよう、引受(売却)証明発行により得た権利金収入から各関連発行コスト及び費用を差し引いた後の残額をオーバーした部分を差し引くことができない旨明確に規定されている。
三、営利事業者が期限どおりに決算申告及び未分配余剰金申告を行わなかった場合の罰則金の上限
原所得税法第108条及び108条の1には、営利事業者が申告期限内に決算申告及び未分配余剰金申告を行わなかった場合、審査決定された納税額又は追徴税額に応じて別途10%の「滞報金」(※申告が遅れた場合の罰則金)又は20%の「怠報金」(※申告を怠った場合の罰則金。たとえば、申告期限内に申告を行わず、税務主務機関などからその旨指摘を受けたにもかかわらず、依然として申告を行わなかった場合などにはこれが課される)が徴収される旨規定されており、且つ当該条文にはその最低金額も定められている。上記「滞報金」追徴に係る規定は合理的な上限額の制限がないため、司法院大法官会議釈字第616号解釈によって、憲法第23条の比例原則及び第15条の人民の財産権の保障の主旨に違反している、と判示されている。改正条文には、追徴される「滞報金」は3万台湾元を超えてはならず、また、追徴される「怠報金」は9万台湾元を超えてはならない旨明確に規定されている。