ニューズレター
「所得税法施行細則」改正要点
所得税法の一部条文が2006年5月30日に改正公布された。その重点には未分配利益に対する課税基準の簡素化が含まれ、「商業会計法」規定に依り処理した年度の税引後純益を基礎とするよう改められた。本部が外国にある営利事業者が獲得した株式利息又は利益については、一律に源泉分離課税を採用する。また営利事業所得にかかるコスト、費用又は損失を合理的に分離計算できるよう、関連規則を制定する権限を財政部に与える。前記改正に合わせるため、財政部は2007年3月5日に改正「所得税法施行規則」関連条文を発布した。
所得税法の改正規定では、営利事業者は今年(2007年)年5月に行う2005年度未分配利益の申告から、未分配利益の計算基準を「徴税機関が審査し決定した課税所得額」から「商業会計法の規定により処理した税引後純益」に変更した。これは未分配利益計算の複雑さを解消するのみならず、財務会計と税務会計の間の一時差異と永久差異といった差異をも解決する。
この改正に合わせるため、施行規則には、営利事業者が法に依り前年度までの損失を補う場合、当年度の未分配利益を以って、前年度決算日までの、商業会計法の規定に依り処理された累積損失額を実際に補填しなければならない、と明確に規定されている。また、公認会計士の監査を受け公認された翌年度の損失については、営利事業者の翌年度の財務諸表における、公認会計師による監査を経た税引後純損失額を基準とする。言い換えると、営利事業者が今年、2005年度の未分配利益を申告する際、2004年以前の各年度の損失を補填することができるほか、2006年度の公認会計士による監査を受けた財務諸表において損失がある場合にも、当該損失を補うことができる。
同時に、施行細則には、営利事業者の2005年度又はそれ以降の年度における所得税法第66条の9第2項第5号及び第7号の規定に依り制限される利益は、制限理由が消滅した際、消滅年度の翌会計年度終了前に、その未分配部分について、制限理由消滅年度の未分配利益を併合して10%の未分配利益税を増徴しなければならない、と明確に規定されている。これに基づけば、営利事業者の法令に依り分配が制限されている利益が、もし2005年度以前に発生したものであれば、その後、たとえ分配制限理由が消滅したとしても、保留していた利益税を遡及して徴収することはない。即ち、営利事業者に2005年度以降、利益制限理由が生じた場合に、はじめて、この保留利益税徴収規定が適用される。
また、所得税法第24条第3項に、外国営利事業者が国内のその他の営利事業者に投資し、配当を受けた株式利益及び利益は、当該外国営利事業者が我が国国内に固定の営業場所を有するか否かを問わず、一律に徴収義務者が源泉徴収する旨の規定が新たに追加されたのに合わせ、改正施行規則第70条には、当該これらの営利事業者が我が国国内に固定の営業場所を有しているか否かを問わず、全てに、所得税法第73条の2の規定、即ち、未分配利益増徴に係る税額を当該株式利益又は利益の徴収すべき税額に充てることができる旨の規定を適用できることが明確に規定されている。