ニューズレター
好樂迪公司及び錢櫃公司の結合禁止案
公平交易委員会(FTC、以下「公平会」という)は2007年3月8日の第800回委員会議において、好樂迪股份有限公司(Holiday Group Co. Ltd.)及び錢櫃企業股份有限公司(Cashbox Party World Karaoke Parlors)の結合申請案につき、その競争制限により生じる不利益は全体の経済利益より大きいとして、「公平交易法」第12条第1項の規定に依り、その結合を禁止する旨の決議を行った。本案は、公平会が結合申請制を採用してから2件目の、申請人に対し結合を禁止したケースとなる。
公平会は調査の結果、結合に参加する事業者の営業額合計が全国の営業額のほぼ2分の1を占め、当該市場は既に高度集中市場に属しており、また台北市及び台北縣のカラオケ業者が全国の営業額のほぼ3分の1を占め、好樂迪公司及び錢櫃公司は結合後、台北市及び台北縣において90%の市場占有率を有し独占的地位を獲得することを発見した。したがって、本案には明らかに競争制限の疑念がある。
当該結合案が引き起こす可能性のある競争制限効果について、公平会は、「台北市及び台北縣内には結合に参加する事業者に対して有効な競争圧力を形成することのできるその他の業者が既にいない。独占業者は、通常、コスト削減、新機軸開発、サービス品質向上の誘因を欠いており、且つ一方的にサービス料を引き上げる能力を具えており、明らかに消費者権益に影響を及ぼす」と認めている。また、新たな業者が上記事業結合後に参入して市場の競争メカニズムを維持することができるか否かについて、公平会は、「結合に参加する事業者は結合前に既に供給チャンネルにおいて優位にあり、現在、レコード会社は全て、カラオケ用ミュージックトラック卸売業者に、それらが取り扱うトラックを錢櫃及び好樂迪の2大チェーンに全面的に供給することを保証するよう要求しており、また、結合に参加する事業者は特定のカラオケ用ミュージックトラック卸売業者と協力して、レコード会社のカラオケ用ミュージックトラック卸売業者の選定に影響を及ぼしている。したがって結合に参加する事業者が結合後の市場占有率の高さを頼みに、カラオケ産業への新規参入を計る新たな業者に対し差別待遇を与えるようカラオケ用ミュージックトラック卸売業者に要求するのであれば、勢い、新たな業者の生存能力及び参入意欲を削ぐことになり、カラオケ業界の市場競争に影響を及ぼす」と認めている。
公平会はさらに、「結合に参加する事業者が提出する結合による全体の経済利益はその競争制限による不利益より大きくなく、それが提出する全体の経済利益には、競争優位性の拡大、消費者の幸福を増進しひいては産業の良性循環を促進すること、国際競争力の強化、就業機会を提供し国際的に通用する人才を育成すること、資源の再分配によって『次級郷鎮』を開発して地方を繁栄活性化させ税収を生み出すこと等が含まれている。しかし、結合に参加する事業者が台北市及び台北縣において獲得した独占的な地位は、勢い消費者権益に影響を及ぼすことになり、且つ国際競争力の強化、就業機会の提供、『次級郷鎮』の開発等はいずれも先に市場競争を消滅させる必要なくこれを為すことができる。したがって、本案結合に係る全体の経済利益は競争制限の不利益より大きいとする参加事業者の主張は、採用できるものではない」との見解を示しています。
好樂迪及び錢櫃は2003年に結合申請を公平会に提出し、当時、両社の結合後の市場占有率は40%を超えていた。公平会は当時、「結合後の市場地位を利用してはならない」とする旨の但書を附帯することを以って、その結合に同意したが、その後、双方は経営理念、株式交換比率問題等により結合案を取り消した。また公平会は、2004年に、両社が共同でカラオケ用ミュージックトラックを購入する取決めは、カラオケ用ミュージックトラックライセンシングの特定市場の需給機能に影響を及ぼす連合行為であるとして、当該2社にそれぞれ250万台湾元の罰金を科した。