ニューズレター
「智慧財産案件審理法草案」可決
知的財産権保護の国際化と専門家の趨勢に対応するため、司法院は2004年2月下旬から知的財産裁判所の計画開設に積極的に取り組んできた。我が国の知的財産裁判所設置について、司法院は立法院に、(1)智慧財産法院組織法草案(知的財産裁判所組織法草案)、(2)智慧財産案件審理法草案(知的財産案件審理法草案)、の2法案を送っている。
立法院は2006年5月29日に該「知的財産裁判所組織法草案」を可決し、該草案の規定により、これまで普通裁判所及び行政裁判所で処理されてきた知的財産権紛争案件を、知的財産裁判所が処理するよう統一した。知的財産裁判所は、技術審査官を設置し、裁判所をサポートして専門技術問題の判断及び関連資料の収集及び分析に従事させる。草案の「一読」審査過程において、草案第16条の「知的財産裁判所技術審査官」の招聘任命資格に関し、委員は一致した見解に達することができなかったため、該条文は保留事項とされ、立法院大会時に改めて討論処理されることになる。
続いて、立法院は2006年12月11日に「一読」審査において「知的財産案件審理法草案」を可決した後、立法院は審議を継続し、2007年1月19日に「三読」審査、即ち最終審査において「知的財産案件審理法草案」を可決した。前記法案の規定により、知的財産訴訟案件は知的財産裁判所に集められて該裁判所が一元的に管轄することになり、また、訴訟実務をサポートさせるため、知的財産裁判所は技術専門家を導入する。草案には、下記の重要規定も明確に規定されている。
‧裁判所は、知的財産案件審理につき、必要と認める場合、技術審査官に職務執行を命じることができ、並びに技術審査官忌避の規定を設けることができる。
‧知的財産案件審理中、営業秘密に関する事項は、非公開で審判することができ、並びに訴訟資料及びファイル証拠の閲覧、抄録又は撮影を制限することができる。
‧知的財産民事及び行政訴訟中、書類又は検証物を所有する当事人又は第三者が、正当な理由なく、裁判所からの証拠提出命令に従わない場合、罰金を課すことができる。必要時には、強制処分執行を命じることもできる。
‧裁判所は知的財産案件について、請求により秘密保持命令を発することができ、並びに違反者に対し刑事制裁を加えることができ、これによって、訴訟の促進及び営業秘密の保護の両者に配慮する。
‧裁判所は、訴訟中、知的財産権に取消又は廃止すべき理由があるか否かといった争点につき、自ら認定しなければならず、並びに関連法律における訴訟手続き停止規定の適用を排除する。
‧知的財産民事及び行政訴訟の証拠保全手続き中、相手人が正当な理由なく、保全の実施を拒絶したとき、裁判所は強制的にこれを排除することができる。但し、必要な程度を超えてはならない。
‧当事人は、知的財産民事及び行政訴訟事件に対し、暫定状態を定める仮処分を請求するとき、その要件について説明しなければならず、その説明が不足している場合、裁判所はこれを却下しなければならない。また、裁判所が暫定状態を定める仮処分を命じた後、30日を過ぎても本案訴訟が提起されなかった場合、裁判所はその処分を取り消すことができる。
立法院が「知的財産裁判所組織法草案」の「二読」審査及び「三読」審査手続きを順調に完了することができれば、知的財産裁判所は近日中に正式に成立し、始動することになる。司法院は現在、既に約40名の裁判官に関連する訓練を完了しており、将来、その中から10名の裁判官が選抜されて知的財産裁判所に配属されることになる。司法院は現在、積極的に、知的財産案件審理細則及び関連規範の制定に取り組んでおり、当所は今後も引き続きこの法改正の動向を追い、適時報告する。