ニューズレター
事業結合申請案件処理原則
事業結合申請案件審理基準をより明確にし、事業者の法規遵守の便宜を図るべく、公平交易委員会(FTC)は事業結合申請案件処理原則(以下「本原則」という)を制定し、並びに2006年7月6日に本原則を公布し、本原則は即日から発効した。本原則の重点は以下のとおりである。
1.水平型結合、垂直型結合及び混合型結合の定義についての説明:水平型結合とは、結合に参加する事業者が水平競争関係にある場合をいう。垂直型結合とは、結合に参加する事業者が、例えば製品の発注者と受注者のような、一種の上下関係にある場合をいう。混合型結合とは、結合に参加する事業者が水平競争関係及び上下関係に属さない場合をいう。
2.特定市場を限定する判断依拠の規定:特定市場の限定は、製品市場及び地理的市場を総合して判断する。製品市場とは、機能、特性、用途又は価格条件上において、高いニーズ又は供給代替性を有する商品又は役務が構成する範囲をいう。地理的市場とは、結合事業者の提供するある特定の商品又は役務につき、取引相手が極めて容易にその他の取引対象を選択又はその他の取引対象に転換できる区域範囲をいう。前項の製品市場、地理的市場を考慮するほか、ケースによっては、時間的要素が特定市場範囲に及ぼす影響を考慮することができる。
3.審査手続きの簡素化:公平会の事業結合案件審査手続きが、簡素化された作業手続きと、一般作業手続きとに分けられた。簡素化された作業手続きに合致する事業結合案件は、その生産販売データを2年分提供する必要があるのみであり(一般案件は5年)、競争事業の資料は上位3位までの競争者の情報を提供する必要があるのみである(一般案件は上位5位までの競争事業者)。このほか、FTCも結合待ち時間を短縮することができる。
4.簡素化された作業手続きが適用される事業結合申請類型:以下に掲げる結合態様には簡素化された作業手続きを適用することができる。
(1)結合参加事業者が、前一会計年度の販売額がFTCの公告した金額に達しているために結合申請を提出しなければならないとき、その市場占有率に以下のいずれかの事情のある場合:(a)水平型結合に参加する事業者の市場占有率の合計が15%に達していない。但し、特定市場の上位2事業者の市場占有率の合計が3分の2に達しているか又は上位3事業者の市場占有率の合計が4分の3に達している場合を除く。
(b)垂直型結合に参加する事業者の個別市場における占有率の合計が25%に達している。
(2)混合型結合に参加する事業者が、FTCによる審査の結果、互いに重要な潜在的競争可能性を備えないと認定された場合。
(3)以下に掲げる、親会社子会社等の関係が既に存在している事業者が、その結合形態を変える。(a)結合に参加する1事業者が他の事業者の3分の1以上、2分の1未満の議決権付株式又は出資額を直接有し、該他事業者と結合する場合。
(b)事業者がその子会社の子会社と結合する場合。前記子会社とは、事業者が50%以上の議決権付株式又は出資額を直接有する場合。
5.簡素化された作業手続き類型の例外:簡素化された作業手続きを適用する結合申請案件に、以下に掲げるいずれかの情況があるとFTCが認める場合、依然として一般作業手続きを適用して処理することができる。
(1)結合内容が重大な公共利益に関わる。
(2)結合主体の1つが「金融控股公司法」(「金融コントロール会社法」)又は「臺灣證券交易所股份有限公司投資控股公司申請股票上市審査準則」(「台湾証券取引所株式会社投資コントロール会社株式上場申請審査準則」)にいう「控股公司」(株式コントロール会社、親会社)である。
(3)特定市場範囲の特定又は結合に参加する事業者の市場占有率の計算が容易でない。
(4)結合に参加する事業者の属する特定市場に、市場参入の大きな障壁や高い市場集中度が存在するなど、競争を制限し不利益な状況を生む虞のあるその他の情況がある。