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新薬特許権は審査登録以前に行われる研究若しくは教学、試験には効力をもたない



「専利法」(日本の「特許法」「実用新案法」「意匠法」に相当)には、「物品特許の保有者は他人が同意を得ずに該物品を製造または販売契約、販売、使用、輸入することを排除できる権利を有し、方法特許の保有者は、他人が同意を得ずに該方法を使用または使用・販売のための契約、販売、輸入し物品を製造することを排除できる権利を有する」と規定されており、何人も特許権者の同意を得ずに上記の製造や販売などの行為を行った場合、特許権の侵害を構成する。しかし、専利法第57条は「発明特許権」の効力に若干の除外規定を設けている。そのうち第1項第1号には発明特許の効力が「研究、授業又は試験のためにその発明を実施し、営利上の行為ではないもの」には及ばないことが規定されている。この規定が置かれた目的は、研究開発及び技術、学術の継承を妨害することを避け、技術革新及び産業発展に不利益をもたらさないことにある。かかる研究や教学、試験などが営利行為でなければ、特許権者の商業利益に影響をもたらすことはないため、専利法には特許権効力の除外規定の1つとして明記されている。

台湾の医薬品法体系には「新薬監視システム」が設けられており、台湾の薬事法第7条に定める「新薬」の定義に合致する薬品(主務機関が審査により、新たな成分や治療効果をもつ調合、新たな使用法であると認定した薬品)については、検査登録許可証の申請人が主務機関に対し検査登録を申請する前に臨床試験を実施し、その安全性と効果を証明しなければならない。もし新薬の研究開発者が該新薬について特許を取得していれば、その後同一の新薬について検査登録を申請する製薬会社が該新薬について臨床試験を行う際、「研究開発者の特許権を侵害するか否か」若しくは「前述の試験行為を除外する特許法の規定が適用可能であり権利侵害を構成しないと主張できるか否か」などの問題が発生する。

2005年2月7日に施行された薬事法改正条文第40条の2第5項には「新薬特許権は審査登録以前に行われる研究若しくは教学、試験には効力をもたない」と規定されている。本来「薬事管理」を目的とする薬事法に、特許権効力を制限するかかる特別規定が置かれ、しかも該規定に「非営利行為」であることが特許権効力除外の要件であること旨明記されていないことは、専利法第57条の規定と矛盾する。専利法と薬事法の内容の不一致と利益のバランスなどの問題については、今後の裁判所の実際の判例を待たなければならない。

薬事法第40条の2第5項が正式に施行された後、台湾台北地方裁判所は2004年智字第77号判決において「薬事法第40条の2第5項の改正目的は専利権の強烈な排他性の緩和にあり、該規定は専利権による保護の絶対性を排除するものではなく、該規定は厳格に解釈する必要があり、専利権保護の除外対象は研究及び教学、試験のみに限定する必要がある」と判示し、さらにこの見解に基づいて「被告である製薬会社が衛生署に対し検査登録を申請する前に行った行為は、原告の特許によって製造した薬品に水分を添加しただけにすぎず、何の技術も用いられていないと言えるため、研究若しくは試験の行為と見なすことはできない」と判示した。そのうえで裁判所は「被告の行為には薬事法第40条の2第5項は適用されず、特許権の侵害を構成する」と判示した。

被告は上訴したが、台湾高等裁判所は2005年智字第26号判決によってこれを棄却した。
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