ニューズレター
「専利師法」(「弁理士法」)草案が行政院を通過
特許代理人制度をより行き届いたものにするため、台湾の「専利法」(日本の「特許法」「実用新案法」「意匠法」に相当)は1986年の改正において、専利代理人の資格及び現実的な管理方法を確立するため、別個の法律を制定することを規定した。この規定を実現するために、行政院は1988年、「専利師法」(「弁理士法」)草案を立法院に送って審議したが、17年余りを経ても立法には至っていない。弁理士法が制定されていない現在、行政命令に相当する「専利代理人管理規則」に従って専利代理人の資格、職務範囲、業務規則などが規定されている。規定の政策を確実にし、2001年に政府が招集した経発会において達成された合意に対応するため、ついに2005年12月新法草案は行政院で可決された。その主な内容は以下の通りである。
1.弁理士は国家試験に合格し証書を所有していなければならない(草案第3-5条)。
2.弁理士は職前訓練を終了し、弁理士会に登録及び加入しなければ業務を行ってはならず、事務所形態を取って業務を行わなければならない(草案第6、7、9-13条)。
3.弁理士会が弁理士の自律に責任を負う(草案第14-22条)。
4.弁理士に法に反する行為があった場合、懲戒を受けなければならない(草案第23-29、31条)。
5.弁理士資格を有さないか若しくは業務を執り行うための法定要件に合致しないまま業務を行った場合、処罰を受けなければならない(草案第30条)。
6.一定の資格条件を有する専利代理人は、弁理士試験の全科目の免除を申請することができる(草案第33条)。
7.専利代理人証書をすでに取得している者は、専利代理業務を引き続き執り行うことができる(草案第36-39条)。
該草案のうち最も注目されるのは、「現在の専利代理人が引き続き業務を執り行うことができるか否か」である。経済部智慧財産局の統計によると、2005年11月現在、8000人近くが専利代理人証書を取得しており、そのうち500人近くが関連する専利業務を実際に行っている。弁理士法が施行された後、すでに専利代理人資格を取得し、実際に業務を行っていた者の権益をどのように保障するかが、立法過程において議論の焦点となった。
今回行政院を通過した草案の内容によれば、「専利代理人と弁理士の二重制度」(草案第36-39条)を採ることを除き、現在の専利代理人のうち本法の施行前に以下の各項のいずれかの資格を有する者は、全ての弁理士試験の免除を申請し、証書を直接交換し、弁理士資格を得ることができる(草案第33条)。
1.専門的職業及び技術職者、技師、弁護士、会計士の試験に合格し、専利代理人証書を取得し、専利業務に3年以上従事している者。
2.公務員高等試験に合格したか、もしくはそれに相当する特種試験、専門的職業及び技術職試験に合格した後、公務員に転任し、特許実体審査に2年以上実際に従事し、かつ専利代理人証書を取得し、専利業務に3年以上従事した者。
3.専利主務機関に専任の専利審査委員として雇用され、実際に専利実体審査を2年以上担当し、専利代理人証書を取得し、専利業務に5年以上従事した者。
ここに言う「専利業務」とは、草案第9条に規定される業務を指し、専利出願、異議・無効審判申立て、専利権の譲与、信託、質権設定、ライセンシング、専利実施、訴願、行政訴訟、及びその他の専利関係法令に規定される専利業務を含む。
草案の規定によると、専利業務を執り行う者は将来「弁理士」及び「専利代理人」の2種に分類されることになる。現在すでに専利業務に従事している専利代理人は、その資格を弁理士に転換するよう積極的に申請することになるだろうと予測される。