ニューズレター
商標権又は特許権の取消しがまだ確定していない際の効力
商標権又は特許権が取り消された後、まだ行政救済過程にある場合、該商標権又は特許権の効力はどうなるのか?商標又は特許権侵害の損害賠償若しくは侵害排除を請求することができるのか否か?こうした疑義について商標法又特許法には明文規定がなく、実務見解は一致していない。
発明特許権の取り消しが確定した場合、特許権の効力は最初から存在しなかったものと見なされる。このことは、特許法第73条第2項に明文規定が置かれている。いわゆる取消確定とは、同法第73条第1項の規定によれば、発明特許権が取り消された後、法により行政救済が提起されなかったもの、又は行政救済が提起されたものの却下が確定したものが含まれる。特許法第108条及び第129条第2項の規定によれば、実用新案及び意匠にも特許法第73条の規定が準用される。但し、特許権が取り消された後、まだ行政救済過程にある場合の効力について、特許法には明文規定が置かれていない。最高裁判所93年(2004年)度台上字第1073号民事判決は、特許権侵害損害賠償の上訴案件について、「特許権の付与は行政機関が公権力に基づいてなす行政処分であり、その結果として出願人が取得した特許権は、特許主務官庁の取消確定を経ていない以上、特許権存続期間満了まで有効に存在する」と判示している。
2003年11月28日に改正施行された現行の商標法には、商標登録が異議申し立て又は無効審判請求によって取り消され若しくは廃止確定した時の効力について、例えば特許法第73条に類似するような明文規定は置かれていなかったが、今回の法改正理由には行政手続法の関連規定によらなければならない旨開示されている。商標登録が取り消された又は廃止された後、まだ行政手続き過程にある場合の商標権の効力については、商標法にも明文規定が置かれておらず、今後の実務見解が前述の特許権効力に関する最高裁判所民事判決の見解を採用して商標権効力認定の参考とするか否かについては、具体的な案件に対する説明が待たれる。