ニューズレター
P2Pファイル交換ソフト頒布業者は著作権法に違反しない
P2P (Peer to Peer) ファイル交換ソフトウェアの供給業者が著作権法に違反するのか否かは、実務上極めて紛争性の高い問題である。米連邦最高裁判所は2005年6月24日にMGM vs Groksterの民事案件について判決を作成し、「P2Pファイル交換ソフトウェア頒布業者であるGroksterとStream Castは、そのユーザーが違法なファイル交換を行うことについて、権利侵害に係る民事責任を連帯して負わなければならない」と判示した。
そのわずか6日後の2005年6月30日に、台湾士林地方裁判所は、Ezpeer(全球數碼科技股份有限公司)のP2Pファイル交換ソフトウェア頒布行為について、著作権法の刑責規範に違反しないとして、無罪判決を下した。裁判所が無罪判決を下した主な理由は、裁判所が、Ezpeer自身には著作権法で制限されている一般への配送又は複製行為がなかったと認めたためであり、しかも、現行の著作権法又はその他法令では、P2Pファイル交換ソフトウェアの頒布は制限されておらず、またこうした頒布業者に内容チェックの義務は課せられていない。しかしながら、裁判所はこれとは別に、「権利侵害に係る民事責任と刑事犯罪の構成要件は決して同じではなく、Ezpeerが権利侵害に係る民事責任を構成するか否か、刑事裁判法廷で追究できるものではない」と指摘している。
Ezpeer判決は公開後、台湾各界において激しい議論を呼んだ。経済部智慧財産局は各界が該判決の内容について誤解することのないよう、2005年7月1日付新聞において、裁判所の判決を尊重する、と表明した。但し、同局は、本件裁判所が前記の判決において、ユーザーがP2Pファイル交換ソフトウェアを使用して他人の著作物を一般に配信及び複製する行為については、権利侵害を構成することになると判示していることを強調もしている。
本件は依然として上訴することができるため、今後の動きに注目したい。