ニューズレター
「専利程序審査基準」(「特許手続審査基準」)の公布・施行
経済部は2005年5月17日に「専利程序審査基準」(「特許手続審査基準」)を公布した。本基準は我が国で初めて公布施行された手続審査基準で、5月20日から既に発効している。特許法に既に明確に規定されている手続性規定以外に、本基準の要点は以下のとおりである。
1. 証明書類形式要件
特許法及びその細則に定められている、提出しなければならない証明書類は、原本又は正本である。但し、当事者が、原本又は正本とコピーが同一であると説明する場合には、当該コピーを原本又は正本の代わりとすることができる。しかし、無効審判請求の証拠が書類証拠のコピーである場合、原本又は正本と同一であることを証明しなければならない。
2.新規出願案の提出
(1)出願日の取得
特許法の規定によれば、願書、明細書及び必要な図面は、発明特許又は実用新案の出願日取得に必要な書類であり、意匠については、願書及び図面説明が出願日取得に必要な書類となる。また、明細書及び必要な図面、図面説明を外国語版で提出する場合、且つ指定期間内に中国語版を補正する場合には、当該外国語版を提出した日を出願日とし、指定期間内に補正しなかった場合、出願案は受理されない。処分前に補正した場合、補正した日を出願日とする。明細書及び必要な図面、図面説明を外国語版で提出する場合、当該外国語の明細書には少なくとも、発明の名称、発明の説明、特許請求の範囲、の3項目の情報を記載しなければならず、また、外国語の図面説明には少なくとも、意匠物品の名称、図面、の2項目の情報を記載しなければならない。かかる記載がなければ、その提出日を出願日と認定することはできない。明細書に中国語簡体字が使用されている場合、補正するよう通知されるが、出願日の取得に影響はない。
(2)明細書
明細書の一部に落丁がある場合、又は図面の一部に欠落がある場合、当該落丁又は欠落が優先権主張の根拠である先願に開示されている内容に既に見られるのであれば、出願人に、完全な明細書、図面の補充提出を許可し、原出願日を出願日とする。出願人が落丁又は欠落部分は不要と認めるのであれば、当該欠落部分が不要である旨の回答を行って明細書を改めて提出し、原出願日を保留することができる。しかし、これが特許要件に影響するか否かについては、実体審査で審理される。
願書及び明細書に記載されている「名称」が明細書に記載されている「名称」と一致していないとき、出願人が期限までに補正又は意見陳述をしなかった場合には、「明細書」に記載されているものを基準とする。
(3)必要図面
図面は工業製図法を参照して作成し且つ明確に表現しなければならない。さもなければ、以下のように処理する。
1)図面が明確でない場合、補正するよう通知する。期限を過ぎても補正しなかった場合には、出願案を受理しない。
2)図面は明確であるものの、工業製図法を参照して作成されていない場合、補正するよう通知する。期限を過ぎても補正しなかった場合には、それが発明特許出願案であれば、引き続き法により早期公開手続を進める。当該出願案に実体審査が請求されていれば、実体審査時に処理する。それが実用新案登録出願案であれば、当該出願案を受理しない。
指定する代表図は原則として1点を基準とするが、個々の技術内容の違いにより、1点以上を代表図として指定することができる。代表図が指定されていない場合又は代表図の部品の符号の簡単な説明が作成されていない場合、補正するよう通知する。期限を過ぎても補正しなかった場合には、引き続き公開作業を進める。
(4)出願権証明書類
特許出願案の譲受によって当該出願案の出願人名義が変更された場合、特許出願権譲受けに関する契約書又は譲渡人が提出した証明書類を添付しなければならない。会社の合併・買収によって特許出願案を受け継いだ場合、合併・買収の証明書類を添付しなければならない。継承によって名義が変更された場合、死亡及び承継に関する証明書類を添付しなければならない。発明人の署名拒否、病気、死亡又は発明人と連絡が取れないなどの問題により、発明人が署名した出願権証明書を取得することができないとき、誓約書又は関連証明書類を代わりとすることができる。
出願人の提出した書類が、発明人がその発明又は創作について出願人に世界各国で出願させることに署名同意する旨の証明書類であるとき、当該書類を出願権証明書類と見なすことができ、我が国での出願権を出願人に譲渡する旨の書類に改めて署名する必要はない。
3.政府手数料
特許出願政府手数料返還の事由は以下の事項に限る。
(1)出願人が納付しすぎた場合又は誤って納付した場合、出願人は当該納付済み政府手数料の返金を申請することができる。
(2)当局が法定の処理期間内に審査を完了することができなかった場合、出願人は審理の終了を申請することができ、当局は、審理を終了したとき、納付済み政府手数料を出願人に返金しなければならない。
(3)その他法定期間の遅延のために、特許法の規定により受理することができない場合。
4.特許出願の取下げ
出願を取り下げる場合、出願人は書面で当局に申請を提出しなければならず、出願人が2人以上であるとき、出願人全員で当該申請を提出しなければならない。当局が取下げ許可通知を送付した後、出願人はその取下げ申請を取り消すことはできない。当局の査定(処分)後は、出願取下げの問題ではなく、査定後に政府手数料納付によって特許権を取得することのできる権利を放棄するかどうかの問題となる。実体審査請求の申請は取り下げることができず、実用新案技術報告の申請も取り下げることができない。発明特許出願案につき、出願日(優先日)から15ヶ月以降に取下げが申請された場合、当局は依然として当該出願案を公開しなければならない。
5.発明人の変更
発明人の追加を申請するとき、政府手数料、申請書、追加される発明人が署名した出願権証明書、その他の発明人が署名した同意書又は発明人全員が改めて署名した出願権証明書を提出しなければならない。もしその他の証拠となるような書類があるのならば、併せて提出しなければならない。
6.新規性に関する猶予期間の主張
特許法第22条第1項には、出願人が新規性に関する猶予期間を主張できる事由が規定されている。これには、(1)研究又は実験のために公開されたもの、(2)政府が主催する展覧会又は政府の認可を受けた展覧会で展示されたもの、(3)出願人の意図に反して漏洩したもの、の3種類の事由が含まれる。前記(1)、(2)の理由を主張して新規性猶予期間を主張するのであれば、その事実が生じた日から6ヶ月以内に出願しなければならないほか、出願時に事実及びその事実が生じた年月日を明記し、且つ指定期間内に証明書類を提出しなければならず、出願時にかかる声明を出さなかった場合には、該主張は受理しない。出願人の意図に反して漏洩した旨主張する場合については、他人が出願人の同意を得ずに漏洩した場合、他人が既に漏洩している事実を出願人が出願時に知っているはずはないため、出願時に声明を行わなければならないとする規定は強制されない。
7.国際優先権
優先権を主張する場合、特許出願と同時に申立てをしなければならず、並びに外国での出願日及びその出願を受理した国を願書に記載しなければならない。但し、出願人は、出願日から4ヶ月以内に、当該外国政府が受理を証明した出願書類を提出しなければならない。願書に申立てがない場合又は期限を過ぎても当該書類を補充提出しなかった場合、優先権を失う。出願人が前記の4ヶ月の期間内に、証明となりうる優先権証明書類のファクシミリ・コピーを提出し、指定された期間内に正本を補正する場合、依然として、その優先権主張を受理する。願書にもし明らかな誤記又は誤植などがある場合には、証明書類を提出して、証明書類に記載されている正確な内容により変更を申請することができる。
優先権証明書類が紙製資料ではなく、光ディスクである場合、出願人は、当該光ディスク及びその電子ファイル資料を印刷した紙製書類を併せて提出する必要がある。出願人が取得した電子ファイル資料が光ディスクではない場合、当該電子ファイル資料の出所を説明する必要があり、並びに当該電子ファイル資料を印刷した紙製書類を併せて提出する必要がある。出願人の取得した光ディスクは、証明書類の正本と見なす。
法定期間を遅延して前記の書類を提出しなかった場合、その遅延が天災又は自らの責任に帰すことのできない事由によるものであれば、出願人は、原因消滅後30日以内に、書面で理由を説明し、並びに優先権証明書類及び自らの責任に帰すことのできない事由であったことを証明する書類(たとえば、外国の特許主務官庁が出した証明書類など)を提出して、原状回復を申請することができる。但し、法定期間を既に1年遅延している場合には、原状回復を申請することができない。
8.生物材料関連発明特許
出願人は願書において関連生物材料又は生物材料を利用した特許案である旨声明し、寄託証明書を提出しなければならない。当該生物材料が、それが属する技術領域の通常知識を有する者により容易に取得できる場合、前述の規定は適用しない。出願前に既に特許主務官庁が認可した外国寄託機関に寄託し、出願時にその事実を申立て、並びに出願日から3ヶ月以内に、本局指定の国内寄託機関に寄託済みであることを証明する書類及び外国寄託機関発行の証明書類を提出する場合には、遅くとも出願日までに国内寄託機関に寄託しなければならないとする規定の制限を受けない。
出願日に証明書類を提出せずに補正を求める通知を受け、指定された補正期間を過ぎても補正しなかった場合、又は出願時に生物材料発明特許である旨声明しなかった場合、出願時に寄託されなかったものと見なす。出願時に声明があったものの、当該声明事項の記載に不備があるか又は3ヶ月以内に補充提出した寄託書類に不備があった場合、手続審査時に、補正通知を受けることになる。以上の事情ゆえに特許を受けることができないか否かは、審査グループが認定する。
国内寄託人が出願人と異なる場合、寄託人が既に出願人に特許出願案に記載されている寄託済み生物材料について授権しており、且つ当該生物材料の寄託が当該出願案関連の寄託規定に合致していることに同意する旨の証明書類を添付しなければならない。
実体審査請求時、特許出願人は寄託機関発行の生存確認証明書類を提出しなければならない。発明特許出願人以外の者から実体審査が請求された場合、本局は、3ヶ月以内に生存確認証明書類を提出するよう発明特許出願人に通知しなければならず、期限を過ぎても提出しなかった場合、直接、審査に移る。
9.再審査請求
再審査請求は、特許を付与しない旨の査定書が送達された日から60日以内に理由書を添付して行わなければならない。この期間は法定不変期間に属し、60日を過ぎてから再審査が請求された場合には、受理しない。審査の結果、再審査請求案に補正の必要がある場合、その補正指定期間は6ヶ月以内を原則とし、出願書類が法定の補正不能事項に属する場合を除き、出願人に4ヶ月の期限を定めて補正するよう通知する。出願人が期限までに補正することができず期限を延長する必要がある場合、期限が満了する前に理由を説明し、期限延長を申請しなければならない。知的財産局は原則として2ヶ月の期限延長を許可し、期限を過ぎても補正しなかった場合、不受理の処分を下す。但し、当該不受理処分が合法的に送達される前に補正した場合、知的財産局はこれを受理しなければならない。
10.無効審判手続き
無効審判請求時に、理由を明記せず且つ証拠を提出しなかった場合、無効審判請求の日から1ヶ月以内に補正しなければならず、期限を過ぎても補正しなかった場合、無効審判請求は受理されない。但し、処分前に補正した場合には受理される。無効審判請求時、既に理由、証拠が提出されていたものの、その後、再度、理由、証拠が補充提出された場合には、全ての理由、証拠を被無効審判請求者に送達して答弁を補充させなければならない。
特許出願権者でない者が出願して特許を受けた発明について、特許出願権者が当該発明特許の公告日から2年以内に無効審判を請求し、並びに審決で当該発明特許の取消が確定した日から60日以内に出願した場合、当該特許権者でない者の出願日を特許出願権者の出願日とする。上記の条件を備えた無効審判請求者が無効審判を請求した後、被無効審判請求者がその特許権を放棄した場合にも、当該無効審判案は依然として審理及び査定を続行しなければならない。特許法第34条の規定により提出される出願案は、いつ取消が確定するか容易に知ることができないため、真の出願権者の権益が先延ばしにされることのないよう、知的財産局は当該出願案をひとまず先に受理することができる。しかし、出願人には依然として、いつ無効審判による取消が確定したかを知的財産局に通知する義務がある。
11.審査意見の回答期間
実体審査、再審査の通知に対する補充、訂正期間及び期間延長回数を以下のように統一する。
(1)発明特許及び意匠
台湾人、外国人を問わず、意見書提出、補正期間は一律60日と規定し、並びに指定期間が満了する前に理由を明記して本局に対し期間延長を申請することができる。延長は1回(60日)限りとする。
(2)実用新案
台湾人、外国人を問わず、意見書提出、補正期間は一律30日と規定し、並びに指定期間が満了する前に理由を明記して本局に対し期間延長を申請することができる。延長は1回(30日)限りとする。