ニューズレター
株主による委任状集めを目的とする株主名簿のコピーの禁止
委任状獲得によって会社の経営権を争うとき、会社側は往々にして一般株主よりも優位な立場にある。なぜなら、会社側は株主名簿などの情報資料を実際に掌握しているため、委任状争奪を進める上で有利だからである。したがって、一般株主が委任状の取得を理由に株主名簿の閲覧又はコピーを申請することができるか否かは、これまで合併・買収実務上、紛争の的となっていた。そこで、経済部は2004年12月29日にこの問題について通達を発し、「会社法の規定によれば、株主による株主名簿の閲覧又はコピーの申請は、たとえば会社と債権債務関係を有するなど、法律上の利害關係を有する場合に限る」との見解を示した。株主が「公開発行公司出席股東会委託書規則」の規定により委任状集めを行うような事態は、主に、取締役や監察人の改選又は補選選挙時にかかる地位(即ち、取締役や監察人の地位)を押さえることを目的とするものであり、これは会社法規定の主旨とは異なると言える。したがって、株主は、委任状集めを目的として株主名簿の閲覧又はコピーを申請することはできない。