ニューズレター
過労症の新たな判断基準
現行の「労工保険」(以下「労保」)の給付規定によると、労働時間超過による過労死とは、死亡前の24時間継続して勤務していた場合、若しくは死亡前の1週間の1日平均勤務時間が16時間を超過していた場合を指す。このほか、過労死までの1ヶ月の残業時間が100時間を超えていた場合、または、発病日前の2~6ヶ月の1ヶ月当たりの残業時間が80時間を超過していた場合も、過労死と認定される可能性がある。しかし労保局が労災給付に同意するには、出勤・退勤の時間を記録したタイムカードなどの証拠が求められるなど、実際には認定条件が厳しく且つ明確な定義を欠いているため、「労保」が給付されるケースは稀である。
しかし労委会は既に「過労」の定義を拡大し、給付基準を明確にすることを決定している。今後は、労働者の精神・脳疾患が明らかに仕事の負担過重によるもので、下記の3項の基準のいずれかを充たす場合、原則として労保局に対し職業病給付を申請することができる。
1.異常な出来事:労働者が異常な出来事を体験した時間、場所が疾病の発生当日若しくは前日である場合
2.短期間の重度の労働:発病前の一定期間(約1週間)に重度の労働の事実がある場合
3.長期の重度の労働:長期にわたり、発病前1~6ヶ月前後、仕事の量が多すぎるか、または疲労が蓄積した場合
このほか、労委会は長期的目標として政策上さらに一歩進め、勤務がもたらす心理・精神疾患、ひいては仕事上のプレッシャーによって勤務能力を失うか又は死亡に至った労働者についても、労働災害を認定することを検討している。