ニューズレター
公平交易法第24条適用の際の損害発生要件
台北高等行政裁判所は最近ある判決において、「欺瞞的若しくは明らかに公正を欠く競争行為がありさえすれば、即、公平交易法第24条が適用されるというわけではなく、該行為が取引秩序に影響を与えうるものでなければならず、『取引秩序に影響を与えうる』とは、実際に取引秩序に影響を与えたものに限らないが、競争者又は消費者に損害をもたらしうることを前提としなければならない」と指摘した。
株式会社サンリオは2002年9月18日に、飛斯特実業有限公司がハローキティのコピー商品を輸入販売し、行為当時の公平法第20条及び第24条の規定に違反したとして検挙した。飛斯特はこれに対し、輸入した商品がコピー商品だとしても、輸入行為は「取引秩序に影響を与える」準備段階に過ぎず、ましてや同社の商品は輸入後に差し押さえられ、市場に出回っておらず、取引秩序に影響を与える可能性はないと主張した。
公平交易委員会(公平会)は調査結果に基づき、飛斯特はハローキティの外観・形状を不当に模倣した商品によって、他人の努力の成果を搾取し、取引秩序に影響をもたらしえたとして、その行為を即刻停止するよう要求し、並びに20万台湾元の行政罰則金に処した。
公平会の見解によると、「取引秩序に影響を与えうる」とは欺瞞的又は明らかに公正を欠く行為の本質及び効果を指し、実際に市場にマイナス影響をもたらす実質的効果に限らず、取引秩序にマイナスの影響をもたらす虞のあるものを包括する。さもなくば主務官庁は事後処罰を行うことしかできず、かかる不正行為を未然に防止することができない。
しかし、その後、飛斯特は行政訴訟を提起し、台北高等行政裁判所は92年(2003年)度訴字第3744号判決において次のように判示した。「公平会が欺瞞的又は明らかに公正を欠く競争行為に対して公平法違反を理由として事業者を処罰する際、当該事業者が欺瞞的又は明らかに公正を欠く方法で競争又は商業取引に従事したこと、及び取引秩序が影響を受ける虞があることをまず証明しなくてはならない。欺瞞的又は明らかに公正を欠く競争行為がありさえすれば、即座に公平法第24条が適用されるというわけではなく、当該行為が取引秩序に影響を与えうる場合にはじめて同条項が適用される。『取引秩序に影響を与えうる』とは、取引秩序に実際に影響を与えるのに限らないが、競争者若しくは消費者に損害をもたらしうることを前提としなければならない。本件の係争商品は既に全て差し押さえられており、取引市場の競争秩序に影響を与える可能性はない。したがって、飛斯特の輸入行為が販売を意図していたため、当該行為が取引秩序に影響を与えうる行為だとして下した公平会の処分は不適切である。」と判示した。以上の理由に基づいて行政裁判所は公平会の原処分を取消した。