ニューズレター
民事訴訟における裁判官の選択
当事者の手続上の主体的地位及び手続選択権を尊重するため、1999年の全国司法改革会議は、民事訴訟の当事者双方に訴訟事件の審理を担当する裁判官を合意により選択させるべきだという結論を出した。2003年9月より民事事件の当事者は、民事訴訟裁判官合意選任の暫定条例の規定により、訴訟第一審の裁判官を主体的に選任することができるようになった。さらに進んで民事訴訟当事者の権益を保障するため、該条例は2004年6月9日に再び改正され、この裁判官選任の適用範囲を拡大した。
旧条例では訴訟当事者による裁判官選任を第一審のみに限定したうえ、一旦選任した後、当事者は、上訴することはできないとった制限が為されていた。この規定は当事者の裁判官合意選任の意欲を著しく削ぐものであった。このため今回の改正では、適用範囲を拡大するため、当事者が第二審においても裁判官を選任することができるうえ、裁判官を選任した場合の上訴禁止の規定も廃止した。
当事者は裁判官を選任するために特別な費用を支払う必要はないが、民事訴訟についてのみ裁判官を選任することができ、刑事事件には適用されない。選任の手続、手順は以下の通りである。
1.訴訟第一審:当事者は起訴時若しくは第1回目の準備手続期日前に、裁判官を1名合意により選任し、文書によって該合意を証明する。合議審判を行うべき訴訟事件の場合、当事者は訴訟を受ける裁判所の裁判官を3名合意を以って選任するか、若しくは双方で1名ずつ選任した後、選任された裁判官がもう1名の裁判官を共同で推薦し合議制裁判所を構成する。当事者は3人目の裁判官の選任通知を受けた後、10日以内に反対の意思を表示すれば、合意を撤回したものと見なされる。もし10日以内に反対の意思を表示しなければ、共同で選任された裁判官に同意したものと見なされる。この制度は現在、台北及び士林、板橋、桃園、台中、台南、高雄の7ヶ所の地方裁判所で試験的に実施されている。
2.第二審:高等裁判所を第一審の管轄裁判所とするケースを除き、当事者は上訴するか若しくは第1回の準備手続期日前に、第二審の裁判官を合意選任することができる。この制度は現在、台湾高等裁判所及び台中支所、台南支所、高雄支所で試験的に実施されている。
裁判官忌避・除斥の申請や上訴提起、抗告の権利など当事者が有する手続上の全ての救済権利は、裁判官選任後も影響を受けず、民事訴訟法の関連規定に則って処理される。該条例は2003年9月6日から1年間の予定で(2004年9月5日まで)施行されたが、改正条文は施行期間を2006年9月5日まで延長した。