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労働委員会による競業禁止規定ガイドライン



労働委員会は、競業禁止条項締結をめぐる労使間の紛争を防止するため、関連学説及び各級裁判所の判例を整理し、並びに競業禁止条項に関する関連学説・判例が合理的かつ適法な斟酌基準であるか否かを分析、検討し、2003年3月31日に競業禁止契約締結ガイドラインを公布した。その要点は以下のとおりである。

1.競業禁止契約の定義

競業禁止とは、事業者の商業上の機密、営業利益を保護するため、又はその競争上の優位性を維持するために、特定の者が在職期間又は離職後一定の期間、特定の域内において、該事業者と同一又は類似の業務を経営し、又はこれに従事することができないよう、該事業者との間で締結される契約をいう。雇用される側が受ける競業禁止契約の時間的制限は、在職期間及び離職後の2種類に分類することができる。

2.在職期間中の競業禁止契約

雇用関係の継続期間中、労働者及びその他被雇用者(労働者等)は労務提供義務に加え忠誠、勤勉の義務を有する。また労働者等は、会社の秘密につき守秘義務を有し、兼業又は競業行為禁止義務も有している。したがって、使用者は、常に労働・雇用契約又は就業規則を通して労働者の在職期間中の兼業又は競業行為を制限し、労働者等に約定又は規定に違反する事情がある場合、該労働者等はしかるべき処分を受けることになり、その情況が重大である場合には懲戒免職事由を構成する。

3.離職後の競業禁止

労働者等が使用者に対して有する守秘義務及び競業禁止義務は、労働・雇用契約終了と同時に消滅する。したがって、使用者がその営業上の利益又は競争上の優位を継続して保護しようとする場合、労働・雇用契約において別段の条項を設ける必要がある。よく見られる方式は労働者等の離職後の就業の自由を制限するもので、離職後一定期間、使用者と同一又は類似の仕事に従事することができず、これに違反した場合には一定額の違約金を賠償しなければならない旨を明示するものである。離職後の競業禁止条項が裁判所によって有効かつ執行可能と認められるか否かは、以下に掲げる事項を参酌しなければならない。

(1)使用者が保護を受けるべき法律上の利益の有無

競業禁止契約の締結については、使用者が実質的に保護されるべき利益を有しているか否かに着目しなければならない。また、それが保護を受けるべきであると主張する法律上の利益が営業秘密であるときには、この営業秘密が営業秘密法の営業秘密の定義に合致していなければならない。例えば、使用者が相当な労力及び費用を費やして研究開発した結果、得た優位な技術又は創出した営業利益等がこれに当たる。

(2)労働者の職務又は職位

使用者が労働者等と離職後の競業禁止を締結しようとする場合、該労働者等は、しかるべき職務についていなければならず、並びに該職務ゆえに会社の営業秘密に触れ、会社の技術研究開発等に参加する機会を有していなければならない。比較的低い職位において普通技能に基づいて就業した労働者等、或はその担当する職務が会社の保護しようとする優位な技術又は営業利益に接触する機会がない場合、その競業を制限する必要はないと推定される。

(3)契約の自由及び誠実原則

競業禁止契約は、本来契約自由原則に基づくべきであり、使用者が強迫又は脅迫などの手段で労働者等にその締結を強制することはできず、或は新規労働者等の経験不足又は求職を焦る労働者等の心理に乗じて、不当に労働者等に競業禁止契約に署名するよう要求してはならない。

(4)制限する期間、区域、職業活動範囲の合理性

競業禁止条項には労働者の競業を制限する期間、区域、職業活動範囲を明確に規定しなければならず、かつ、該制限は、合理的な範囲、即ち、社会の一般的な社会通念及び商業習慣上、合理的かつ適当な範囲と認めるられる範囲を超えてはならず、当事者の仕事権を厳重に制限することなく、また当事者の経済的な生存能力を脅かすような制限を加えるものであってはならない。以下に、再就業を制限する期間、区域及びその職業活動についてのみ、実務運用を斟酌して簡単に説明する。

a. 期間
競業禁止の開始・終了時期及び期限を明確に規定しなければならない。現在、比較的よく見られ、かつ裁判所に受け入れられる期間は2年以下である。
b. 区域
競業を禁止する区域(例えば、行政区域又は一定の地域など)を明確に規定すべきである。該区域は企業の営業領域、範囲に限り、かつ労働者等の就業及び職業選択の権利に不公平な障害を構成するものであってはならない。使用者が開拓していない 市場、又は将来発展する可能性のある区域については、自由競争の原則に基づき、いかなる制限も受けるべきではない。
c.職業活動
競業を禁止する職業活動の範囲は、労働者等が離職後に従事することのできない仕事又は業務を具体的に指すべきであり、かつ元の事業者と競業関係にある業種(例えば、特定の産業又は職業など)を指すべきである。


(5)代償の有無

代償とは、労働者等が競業行為に従事しないことによって受ける損失に対する、使用者の補償を指す。代償金額については、ドイツの商法の規定を参考することができ、従業員の離職後の競業禁止期間内における毎年の補償につき、使用者が支払うべき補償額は、従業員が離職時に取得できる報酬の半分以下であってはならない。また、イギリスには「gardening leave」があり、該競業禁止期間中は元の使用者が従業員に給与報酬を支払い、該労働者は仕事に従事する必要がない。

(6)違約金の合理性

事業者は、労働者等と違約金の額を取決めることができるが、違約金の額と競業禁止期間の長さとの相関性を考慮すべきであり、並びに労働者等に提供する代償との得失のバランスは適度であるか否かも考慮すべきである。即ち、使用者がすでに代償を提供しているのに労働者が恣意的に違約したのであれば、その違約情況は重大であると見なすことができ、当然、その違約金は、高額の違約金を規定することができるが、代償措置を提供していない場合又は代償措置金額が低すぎる場合、労働者等の違約に係る責任は低くなるということができ、違約金の正当性を検討する必要がある。ゆえに、労働者等の労働権が過度な制限又は侵害を受けることのないよう、違約金の金額は一般的客観事実、労働者等が違約した当時の社会経済状況及び当事者が受けるであろう損害状況により斟酌しなければならない。

(7)顕著な背信又信義誠実原則に反する事情の有無

競業禁止の効力は、離職した労働者等の競業行為が確かに顕著な背信性を有し、かつ明らかに誠実原則に違反する場合に限定されるべきである。例えば、離職労働者等が元の使用者の顧客情報及びその他の情報を大量に持ち出し、或はその競業の内容又は態様が悪質であり、或はその競業行為が明らかに誠実原則に反している場合には、信義誠実の原則重大な違反に当たる。また、労働者等の離職原因が使用者の責任に帰することができるときには、競業禁止条項は効力を生じない。
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