ニューズレター
証券商の外国有価証券受託売買に係る管理規則の改正
我が国の金融国際化及び自由化政策を確実に実行するため、証券暨期貨管理委員会(SFC)は、1989年1月7日に証券交易法第44条第4項の授権規定により、証券業者の外国有価証券受託売買に係る管理規則を定め、公布した。本規則はこれまでにも1995年、1996年、1990年及び2001年の4回にわたって改正されているものの、国際金融環境及び関連法制が大幅に変更されたため、国際社会における関連制度の変更及び実務上の必要に対応することを目的として、再度改正された。改正要点は、以下の通りである。
1. 外国証券取引市場の定義を追加し、何らかの組織を有し、かつ当該国の証券主務機関による管理を受ける証券取引き市場を指すものとし、これには証券取引き所及び店頭販売市場が含まれる。また、証券業者が受託売買する外国有価証券は、原則として前記の証券取引き市場において取り引きされるが、SFCの規定に別段の規定がある場合には、これを為すことができない。現在のSFCの規定によれば、証券商が外国の有価証券を受託売買できる証券取引き市場の範囲には中国大陸地区が含まれておらず、また香港地区についても、中国大陸地区の政府、会社が香港で発行している有価証券は前記の範囲に含まれない。
2. SFCは、原則として外国証券市場で取り引きされる有価証券は全て証券業者の受託売買対象とすることができるとしており、これを以って各国の金融及び証券業者の国際化、自由化の発展趨勢に対応している。これには、(1)外国証券市場で取り引きされる株式、ワラント、受益証書、預託証書及びその他の有価証券、(2)SFCが認可する信用評価・格付け会社の評価・格付けが適当な等級以上の債券、(3)その他本会が認可した有価証券、を含む。また、中央銀行外国為替局の意見により、我が国の企業が海外で発行した社債及び(1)国内の有価証券、(2)本国の一部及び二部上場企業が海外で発行した有価証券、(3)国内の証券投資信託事業者が海外で発行した受益証券を連結標的とする連動型又は結合型の債権は、受託売買対象から排除する。
3. 証券業者による外国有価証券受託売買業務の範囲を拡大するため、委託者がその目的事業主務機関の許可を受けた外国有価証券投資の投資専門機関である場合、投資専門機関は、投資に関する専門的な知識及び経験を有しているため、証券業者は、その外国有価証券委託売買標的を受け入れることができ、前段の我が国の企業が海外で発行した社債及び国内の有価証券を連結標的とする連動型又は結合型債券を除き、全て受託売買することができ、上述の証券業者が受託売買できる有価証券に関する制限を受けない。
4. 外国有価証券売買の取引き実務に合致させるため、並びに顧客の委託注文の柔軟性を強化するため、委託者が価格帯及び有効期間を指定して発注した場合であっても、証券業者がこの委託方式を受け入れることができ、同時に委託状を書面又は電子方式で作成できるよう、規制を緩和された。但し、証券業者は、規定により顧客の委託記録を保存しなければならない。このほか、証券取引き所営業細則第75の1条の規定によれば、1日の売買最高額がNT$1,000,000を超えない委託者(自然人)はインターネット、書簡又はその他の方式で口座を開くことができる。
5. 顧客の投資の利便性強化のため、証券業者は、委託者と事前に、現金投資管理口座の開設を書面で取決めることができ、委託者がある証券投資を終了清算した後、国外から発注を行う証券機関が、売買価金を別の委託者が事前に約定した当該国に市場規定に合致する貨幣市場基金又は債券型基金に転換投資することができるようにした。今回の改正は、委託者による台湾元達て直接取引きを開放するもので、その決済事項は外貨収支又は取引き申告規則の規定により、委託者の毎年の決済額を用いて、証券業者が指定銀行に決済を行わせなければならない。但し、台湾元で直接取り引きする方法で購入した有価証券を、その後、台湾元で直接取り引きする方式で売却するとき、毎年の外貨両替枠に計上しなくてもよい。また、委託者の年間両替枠を利用て送金された資金により購入した外国証券の売却金もまた、当該両替に算入されない。
6. 証券業者の研究報告の発行は、時に同一グループ中の異なる会社の業務に属し、或は再受託証券業者の授権により発行され、或は同意を受けた証券業者に利用・使用されるものであるので、証券業者の実務作業に合致させるため、今回改正緩和する研究報告は、本社が授権し、可発行したものに限ると規定し、また、同意の上使用される研究報告も認められる。但し、その内容に虚偽、隠蔽、詐欺又はその他他人を誤信させるに足る事情がある場合には、証券業者は、それが本社により授権・発行されたものではないことを理由に、免責を主張することができない。
投資者が外国の証券商が開いた口座で外国の有価証券を売買しするようにするため、証券業者が主体的又は受動的に受託売買の事実を推薦紹介し、その結果、取引き上で紛争が生じたとき、派生した責任の帰属が不明になる事態を防止するため、かつ、今回の改正では、投資者のニーズに合わせるため、受託売買する外国有価証券の対象範囲が緩和され、また現金投資管理口座が開放され。したがって、証券業者及びその責任者、従業員が投資家に対し外国の証券商が開いた口座で外国有価証券を売買させるよう誘引することを明文で禁止する。