ニューズレター
従業員の新株引受権の数額に係る規定
従業員の新株引受権数額は、会社法第129条及び第130条に規定される、定款における必要記載事項又は相対的記載事項ではない。実務上、非公開発行会社は、授権資本範囲内で、実際の需要に応じ、柔軟に従業員の新株引受権の数額を調整し、これによって発行の時期をコントロールし、企業経営を有利にすることができる。
しかし、非公開発行会社が依然として従業員への新株引受権の額を定款に記載しているのであれば、会社法第193条の規定により、取締役会が執行する業務は法令規定及び株主総会決議に従わなければならないため、該定款に定める従業員への新株引受権の数額は当然、取締役会が任意でこれを変更することはできない。そこで経済部は2003年2月21日通達により、会社の新株発行が会社法第278条の増資制限規定に違反する虞がある場合には、当然、法に従い定款を改正して授権資本総額を引き上げるか又は従業員の新株引受権の額度を調整しなければならない、との解釈を示した。
このほか、経済部は2003年3月3日通達によりさらに一歩踏み込んだ解釈を示し、非公開発行会社が定款を改正して授権資本総額を引き上げ、並びに新たに増やした授権資本総額全てを新株発行時に使用すべく留保するのであれば、これは実行可能である、と認めている。