ニューズレター
商標異議行政訴訟は取下げ不可
高等行政裁判所に対し訴訟を提起し、又は高等行政裁判所の判決を不服として上訴した後、判決が確定する前であれば、訴えの全部又は一部を取り下げることができることは、行政訴訟法第113条第1項及び同法第263条に明文を以って規定されている。但し、行政訴訟法第114条第1項及び同法第263条の規定によれば、訴えの取下げが公益に反する場合、これを行うことができない。過去、最高行政裁判所又は高等行政裁判所が訴訟の取下げを認めない根拠として行政訴訟法第114条第1項及び同法第263条の規定を適用したことはない。
最高行政裁判所92判字第155号判決は、ある商標異議に係る上訴案件に対し、商標は商品の供給元を表示するのに用いられ、一般使用者の正確な認知という公益に関するものであり、仮に訴訟を取り下げるのであれば、違法な行政処分を存在させることになり、公益に反する、と判示した。したがって、該案原審原告は最高行政裁判所の審理段階において該訴訟の取下げを申立てたが、裁判所は、行政訴訟法第114条第1項及び同法第263条の規定を適用し、該案は公益に関するものであると認め、訴訟取下げを認めなかった。