ニューズレター
違法収集証拠は、必ずしも証拠能力を有するとは限らない
盗聴又はその他の違法な方法で入手した犯罪証拠は、刑法の秘密妨害罪又はその他の罪責に問われることになる。但し、入手した証拠が証拠能力を有するか否か、裁判所が犯罪の立証に依拠とすることができるか否かについては、実務上の見解は一致していない。最高裁判所91年度台上第2908号刑事判決は、次のように判示している。「刑事訴訟の目的はもとより、正確に刑罰権を適用して社会の秩序及び安全を保つことができるよう、実体的な真実を見出すことにあるが、その手段は依然として合法、廉潔、公正であるべきで、これを以って人権を保障しなければならない。仮に証拠の取得が法定手続によらないのであれば、人権保障と公共利益の均衡維持について、比例原則により斟酌しなければならず、これを以って、該法定手続によらずに取得した証拠に証拠能力を付与するか否かを決定しなければならない」。
新たに改正公布され、並びに2003年9月1日に施行される予定の刑事訴訟法第158条の4には、刑事訴訟手続を実施する公務員が法定手続に背いて取得した証拠が証拠能力を有するか否かの認定は、人権保障及び公共利益の均衡維持を斟酌しなければならないことが明文で規定されている。該条項の立法主旨と最高裁判所の前述の判決の主旨は同一である。しかし、公務員以外の者が不法に取得した証拠が証拠能力を有するか否かについては、新たに改正された刑事訴訟法にも明文の規範がない。