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自らのソフトを用いるデータ処理委託料に対する課税の可否



営利事業者が自ら購入したソフトを外国の営利事業者のハードウェアにインストールし、且つこの外国営利事業者にケーブルを通じてデータを送りその処理を委託し、バックアップを国内に返送して使用した件に関する課税争議について、台北高等行政法院(裁判所)は、判決を下した(行政院90年度訴字第4499号判決及び90年度訴字第6022号判決)。行政法院の判示によれば、この営利事業者が上記の取引において外国営利事業者に支払った費用は権利金ではなく、役務報酬及びリース料であり、提供先が外国であるため台湾国内の所得ではなく、台湾の営利事業所得税は、課税されない。

本件判決は、所得が台湾に帰属するか否かが争点となった事案である。ある所得の性質を税法上どのように見るか、「役務(給与)所得」か、「リース料所得」か、又は「権利金所得」かは、所得税法第8条に列記される異なる基準の適用が問題となる。例えば、役務所得は、役務提供先、リース所得は使用させる資産の所在地、権利金は権利使用地が、台湾国内であるか否かが、台湾に帰属する所得であるか否かを判断する基準となる。

行政法院は、本件の判決において「役務所得」、「リース料所得」、及び「権利金所得」の法律的区分に関し、次のような意見を述べている。

1.役務所得

「役務」とは自然人の身体中に内在するものであり、客観的に観察したり把握できるものではなく、保存することができないという特性を有する。もし、即時受領することができなければその提供も消失する。対価を提供し、役務を受領する者は、役務を受領する際原則として自ら労働を行う必要はなく、いながらにして役務のもたらす利便を享受する。

2.リース料所得

リース料は、有体物の利用に対し支払われる経済利益を指す。「有体物」とは物理的に空間を占有し、たとえ受領せずとも客観的に存在するものである。したがって、リスク負担(受領前に有体物が破損するなど)の問題が関わってくる。受領の際重視されるのは実際の使用機能であるため、貨幣を提供し有体物を受領する者は、該有体物を占有するか、又は之に対する法律上有効な用益権を行使する必要がある。

3.権利金所得

「無体財産権」又は「営業秘密」であり、これらと有体物との最大の差異は、「時空を占有する物理的性質」を持たないことである。この点に関しては、「役務」と同一の特徴(共に人類の知的活動の成果)を有する。しかし、「役務」との明らかな違いは、これらの知的活動の成果が、法律的に「無体財産権」又は事実(営業秘密)上の方法(法律上の登録、登記又は事実上の書面記載)として固定化されていることである。したがって、その実施に際して提供者が「役務提供」の形式によって、再び労力知力を費やし実施する必要はない。受領者自身が「知的財産」の固定化(書面の指示、特許権ならば「特許明細書」)に従い、上記の「無体財産権」又は「営業秘密」を実施すればよい。この点において、役務との受領方式は明らかに異なる。

しかし、行政法院は、上述の分析が法理上の概念的枠組みであり、実際の社会の経済活動に適用する際、上記の明確な概念を単純に当てはめ分類することができる案件はありえないことを認めている。現実の契約内容は、実際の経済的必要に応じ多様且つ複雑である。

例えば、特許権の実施は「無体財産権」の授与に属し、理論的には権利の受領は文書に従い実施するだけでよいが、多くの場合、特許権の提供者は提携を成功させる目的で技術指導、即ち役務提供を行う。また、役務の受領においても、本来受領者は役務提供者の役務内容をわざわざ理解する必要はないが、時には受領する役務自体にある程度の技術が含まれることもあり、このような技術は往々にして役務受領者が知っておきたい類のものである。このような場合、契約において役務提供者がその技術を役務受領者に対し開示するよう定めることもある。このほか、工事請負契約において費用を支払う依頼者が受領するものが請負者の役務であるか、又は「役務によって生み出される仕事の成果(有体物の権利を含む)」であるのか、明確にすることが極めて難しい場合もある。

したがって、具体的なそれぞれの案件の判断は「類型化」方式によらざるを得ない。費用を支払う者が得る「経済利益」と上述の三種の概念の内容を比較し、その類似程度に基づいて分類作業を行う。これに従い、台北高等行政法院は前記の判決において、この案件の事実及び関連証拠に基づき、原告が自らのソフトで外国営利事業者のハードウェアにデータ処理を委託し支払った費用は、性質上役務報酬及びリース料に属するものであって、権利金ではなく、所得税法第8条の台湾に帰属する所得の判断基準によれば、この役務報酬及びリース料は、役務の提供及び設備が外国にあるため、台湾の国内所得ではなく、台湾の営利事業所得税を課すべきではない、と判示した。行政法院の「役務所得」、「リース料所得」及び「権利金所得」についての上記の見解は、今後所得税法の台湾に帰属する所得を判断する際の参考となるだろう。
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