ニューズレター
公平交易法
公平交易委員会は、2002年11月、コンピュータソフト会社の行政和解申請を受理した。本件は、公平交易委員会が消費者を代表し、和解を受理した最初の事例である。
行政和解とは、公平交易委員会と事業者との間で締結される和解契約をいう。公平交易委員会が職権調査により行政処分のための事実関係及び権利関係を確定することが困難である場合、行政目的の迅速な達成及び紛争の迅速な解決のため、公平交易委員会は、行政処分に代え行政和解をすることができる。行政和解の法的根拠は、2000年10月9日に公表された「公平交易委員会締結行政和解處理原則」であり、その骨子は以下のとおりである。
1.公平交易委員会和解契約協議開始の前提条件
①公平交易委員会及び相手方の譲歩の適法性及び妥当性
②公共の利益の保護
③和解の成立により利害関係人が被る可能性のある損害
2.和解契約の締結の可否、和解協議の重点及び範囲につき、事前に公平交易委員会へ報告、審議する。
3.公平交易委員会の和解案は、公平交易委員会の決議を経なければならない。
4.相手方の和解案は、その内容及び理由を書面を以って公平交易委員会に提出する。和解案に理由がいないと認める場合、公平交易委員会は、これを拒絶しなければならない。但し、和解の成立が必要である場合、公平交易委員会は、対案を示すことができる。和解案の拒絶又は対案の提示は、書面を以ってこれを為すものとする。
5.和解協議手続中、公平交易委員会は、和解の内容につき、利害関係人に意見を求め、又は相手方及び利害関係人に民事上の和解若しくは協議を行うよう求めることができる。但し、公平交易委員会は、当該意見又は和解若しくは協議の内容に拘束されない。
6.和解契約の履行が第3者の権利を害する場合、和解契約は当該第3者の書面の同意がある場合に限り効力を有する。
7.必要があるとき、公平交易委員会は、和解契約締結の締結過程において、これを撤回若しくは変更し、又は和解手続を中止し、調査を継続することができる。
8.和解契約は、書面によらなければならない。締結過程における協議の結論は、これを書面化するものとする。
9.以下の事情がある場合を除き、和解契約は、錯誤を理由としてこれを取り消すことはできない。
①相手方が和解の根拠とするために提出した文書が、事後、虚偽又は変造されたものであることが発覚し、公平交易委員会が、その事実を知悉していたならば、和解に応じなかったであろう場合。
②当該事件が裁判所の確定判決を受け、公平交易委員会及び相手方のいずれかがその事実を知らなかった場合。
③公平交易委員会に相手方の能力につき錯誤がある又は双方に重要な争点につき錯誤がある場合。
④相手方が故意に重要な事実を偽り、公共の利益に重大な損害を与えた場合。
10.相手方が和解条項に違反した場合、和解契約に別途定めのある場合を除き、和解契約を解除又は解約し、調査を継続することができる。相手方が再度公平交易委員会に対し和解の申し入れをした場合、公平交易委員会はこれを拒絶することができる。