ニューズレター
金融資産証券化関連法
金融資産証券化條例(「本條例」)の議会通過後、主務官庁は、法律の授権に従って、既にいくつかの法令を定め、金融資産証券化の実施手続を明確に定めた。受託機関が受益証券を発行すること、及び特定目的会社(SPC)が資産担保証券(ABS)を発行することについて、届け出又は許可取得の必要事項を規定するため、受託機関の受益証券発行・特定目的会社の資産担保証券に係る処理準則(「発行処理準則」)を公表した。そのほか、受益証券資産担保証券を特定人の間で募集(私募)するための目論見書の内容及び譲渡制限に関する準則(「私募準則」)、及び受託機関による受益証券の公開募集、特定目的会社による資産担保証券の公開募集に関する処理準則(「公募準則」)を公表し、それぞれ受益証明書及び資産担保証券の私募及び公募に関する事項を規制している。それぞれの骨子は以下のとおりである。
1.発行処理の準則
受託機関又は特定目的会社が受益証券又は資産担保証券を発行する際の申請或は届け出手続、届け出後又は許可取得後の必要処理事項、及び主務機関による申請却下、不許可、取消又は無効の条件等に関連する事項を定めるため、財政部は、2002年10月8日に、本條例第9条第1項及び第73条第1項の規定に従い、発行処理準則を定めた。
発行処理準則は、受託機関による受益証券発行及び特定目的会社による資産担保証券発行が事前許可制及び事前届け出制の双方を採用することを明示している。不特定者に対する公募には、公募準則が適用される。
発行処理準則により、受託機関による受益証券発行及び特定目的会社による資産担保証券発行は、原則として、事前届け出制を採用している。事前届け出の書類に不備がある場合、又は必要記載事項の未記載の場合で、公益保護のために補正又は説明する必要がある場合、又は却下事由がある場合を除き、申請案は、主務機関が届け出書類を受理してから15営業日後、効力を生じる。但し、例えば、初回の申請、前回の届け出又は申請が却下、不許可、取り消し又は無効とされたこと、又は資産が外国人に売却されたこと等の例外事情がある場合、許可制が採用される。
主務機関は、届け出の書類不備、又は必要記載事項の未記載、又は公益保護のため必要があると認める場合、当該届け出の効力発生を停止することができる。受託機関又は特定目的会社が、届け出の効力発生を停止される原因につき、補正を提出した後、主務機関により再補正又は却下の通知がない限り、届け出の発効期間の満了を以って、主務機関は、当該届け出発効停止を解除できる。但し、届け出の発効を停止させる通知を送達した日から15営業日を過ぎても上記の規定に反して当該停止解除の申請をせず、又は申請を提出したにもかかわらず発効停止の原因が依然として存在している場合、主務機関は、その申請案を却下することができる。
受託機関が受益証券を発行するとき、又は特定目的会社が資産担保証券を発行するとき、所定の事情がある場合、主務機関はその許可申請又は届け出を却下し、又は不許可とすることができる。また、届け出により、効力が生じた後、又は許可取得後にも、主務機関はその効力又は許可を取り消し、又は無効とすることができる。
2.私募準則
受託機関が受益証券の私募を行うとき、又は特定目的会社が資産担保証券を私募するとき、その私募の対象、目論見書の必要記載事項、及び受益証券又は資担保証券の譲渡制限などの関連する事項を規定するために、財政部は、2002年9月24日に、本條例第17条第4項、及び第101条準用第17条第4項の規定により、私募準則を定めた。
私募の許可を与える対象は、①銀行業、割引業、信託業、保険業、証券業、或はその他、主務機関により許可指定された法人、機関或は基金;②主務機関が定めた条件に該当する自然人、法人或は基金を含む。但し、前記②に定める応募者の総数は、35名を超えることはできない。また、前記①の「主務機関により許可指定した法人或は基金」とは、財政部の行政解釈により、証券投資信託事業、証券投資信託事業が募集する証券投資信託基金、信託業者が募集する共同信託基金、公務員の定年救済基金、労働者の定年基金及び労働者の保険基金をいう。一方、前記②における「一定条件」とは、自然人については、証券交易法第43条の6で定める、総資産或は所得に基づいてこれを決定し;法人については、その運用できる資産額に基づいてこれを決定する。受託機関、特定目的会社又は売り付け人は、応募する上述自然人若しくは法人又は特定者が所定の要件を充足するか否かにつき、合理的な調査義務を有し、並びに応募者又は譲渡人が私募条件を合致することを証明する書類を取得してはじめて、受益証券或は資産担保証券の譲渡を登録することができる。
その他、私募準則は、応募者或は買い手の投資に際し、関連情報に基づく投資判断を可能とするため、受託機関或は特定目的会社の私募に対して、目論見書及びその必要的記載内容として、例えば、発行条件、関連機関の案内、信託或は譲渡資産の状況、費用分担、信用評価及び強化、譲渡制限などの項目を置くことを明示的に義務付けている。
私募の趣旨に合致させるため、許可を受けた短期株券又は法令が規定する場合或は主務機関の許可を受けた場合を除き、私募された受益証券或は資産担保証券を転売することは認めず、且つ私募及び転売を行うとき、一般の広告或は公開勧誘行為は禁じられている。なお、私募受益証券及び資産担保証券において、顕著な方法で譲渡に係る制限をはっきり注記する必要があるほか、応募者或は購入者に交付する関連書類にこれを明記しなければならない。また、所有権の状況を明確にさせるために、受益証券或は資産担保証券は、信託機関或は特定目的会社に登録されてはじめて、譲渡されることができる。
3.公募準則
金融資産証券化の商品が、証券市場における公開募集の際に依拠する手続を定めるために、財政部は、2002年10月2日に、本条例第17条第2項、及び第101条準用第17条第2項により、公募準則を公布した。
公募案件は、届出書或は許可申請書、及び特所定の書類を準備し、これを証券及期貨管理委員会(SFC)に提出後、同委員会がその届出を受理し又はこれを許可してはじめて、公募することができる。証券及期貨管理委員会(SFC)は、原則として、届出制を採用するが、過去に発行機関の公募が金融局或は証券及期貨管理委員会(SFC)により、却下、取り消し、無効、不許可とされたことがある場合、又は関連する発行機関が銀行法、信託業法、保険法、証券交易法に重大な違反を犯した事実がある場合、又は元本、利益、利子或は収益等の未払い等の事情がある場合、当該申請案については許可制を採用する。届け出のみが要件となる場合、証券及期貨管理委員会(SFC)による届出書類の受理から12営業日経過後、当該届け出は効力を生じる。
許可取得又は届け出発効後30日以内に、公募の公告を実施し、且つ公募に関する事項処理しなければならない。法令により別途規定される場合を除き、公募届出の発効後3ヶ月以内に又は許可の通知の受領から3ヶ月以内に、募集を完了しなければならない。必要がある場合、期間の延長を申請することができる。但し、延長の申請は、一回を限度とし、且つその延長期間は3ヶ月を超えることができない。また、受託機関或は特定目的会社は、証券及期貨管理委員会(SFC)に対する当該公募完了届けの日から30日以内に、受益証券或は資産担保証券を交付しなければならない。
なお、以下のいずれかの事情がある場合、証券及期貨管理委員会(SFC)は公募申請を却下、又は不許可とすることができる。
(1)届け出又は申請内容が法令に違反し又はこれに虚偽がある場合。
(2)受託販売者による評価報告が当該公募計画の実行性及び合理性について、明確に示してない場合。
(3)会計士が信託財産或は譲受資産の価格の妥当性に関する意見書を明示してない場合。
(4)資産信託証券化の計画或は資産証券化の計画が達成できないことが明らかである場合。
(5)受託機関或は特定目的会社の財務或は業務に重大な異常があり、解決或は改善の見込みがないことが明らかである場合。
公募届出が発効し又は申請が許可される前に、受託機関又は特定目的会社は、台湾証券交易所若しくは財団法人OTC売買センターから同意書を取得しなければならない。
公募案件について、法令に別途規定がある場合を除き、その販売は、これを受託証券業者に委託しなければならない。また、創始機関と幹事受託証券業者は、「関係人」であってはならない。
投資者の利益を保護するため、公募準則は、証券期貨委員会による届け出書類又は許可申請書類の受理後、当該届出の発効又は許可前の間に、その発行機関又は届出若しくは申請書類の重大な変更及び価格に影響を及ぼす情報を全て公開し、且つ専門家の意見を備えて、証券及期貨管理委員会(SFC)に報告しなければならない旨規定している。受益証券又は資産担保証券の公募は、その届出の発効又は許可取得後販売前、期限内に五週が完了しない場合、募集内容に虚偽又事実の隠匿がある場合、金融融資に重大な変化を発生た場合等、受益証券又は資産担保証券の価格又は発行の条件に影響を及ぼす事情がある場合、証券先物委員会は、当該届け出効力又は許可を取り消し又は無効とすることができる。
届出又は許可が無効とされ又は取り消された場合で、既に代金が支払われている場合、受託機関又は特定目的会社は、証券及期貨管理委員会(SFC)による取り消し又は無効通知を受け取った日から10日以内に、法律に従い、利子を加えて、当該代金を返還しなければならない。
金融資産証券化は、重要な金融改革措置の一環であり、当該メカニズムを通じて、金融市場の規模を拡大し、リスクを分散し、且つ資金運用の効率を向上させて、台湾の金融環境に活気をもたらすことができる。上述の発行処理準則、公募準則及び私募準則は、受益証券及び資産担保証券に係る発行及び募集の手続を確立するものであって、その重要性は言うまでもない。我々は、金融資産証券化の目標を早く達することができるように、主務機関がその他の関連法令の早期制定を期待する。