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行政裁判所の行政手続法準用による智慧財産局特許出願案処分



出願人が原文明細書において特許付与を請求する化合物Aを全てBと誤って記載し、これを受けて智慧財産局から審査時に提出される審査意見には全てAについてのみ言及され、しかも智慧財産局が新規性及び進歩性を欠く証拠としてAと関係のある先行技術を引用したケースで、智慧財産局は、該出願に対し拒絶査定した。出願人は、誤りに気づかず、再審査請求の理由書において、智慧財産局は「誤って」Aと称していると述べたほか、出願人が請求する発明は「B」に関するもので「A」ではないことを強調した。智慧財産局の再審査段階に至って、出願人は、母国の特許局から該出願人の称するBは、Aの誤記であることを知らされたため、自発的に智慧財産局に対し誤りを認めその補正を請求した。しかし、智慧財産局は、この補正は「発明の実質の変更」であるとして、その補正請求の受理を拒絶し、出願者が「B」についてその効果を証明するデータを提出することができないことを理由に、該特許出願を拒絶査定した。出願人は訴願後、台北高等裁判所に対し行政訴訟を提起した。行政裁判所は最近、原処分取消及び訴願を破毀する判決を下した。

本件の判決理由には数多くの行政手続法の一般原理がその判決の依拠として引用されており、2001年1月1日に台湾行政手続法が施行されて以来、行政裁判所が該法の立法趣旨を最も強く反映した判決といえる。更に、該判決理由には関連法学領域の法理が融合され、数多くの先駆的な裁判所実務見解も盛り込まれており、台湾の行政救済発展史における重要な一里塚とすることができる。以下に、その主旨を要約する。

1.行政機関は釈明義務を負う(行政手続法第10条の「裁量権の制限、行政法上の公益原則」)

(1)民法における意思表示解釈の原則(民法第98条)、即ち「意思表示の解釈は、当事者の真意を探知しなければならず、使用された語句に拘泥してはならない」は、公法にも適用されなければならない。明細書の語意に疑義があれば、特許審査官は出願人の真意を探知しなければならず、使用された語句に拘泥してはならない。

(2)特許法第1条の公益目的に基づき、明細書の用語の前後不一致により出願の真意が不明の場合、又は出願人の明細書補正の請求が既に実質的変更に当たり、本来の内容を審査対象としようとする場合、これらの事実は特許権を許可するか否かに関わるため、特許主務官庁には探知義務を負う。

(3)特許主務官庁は面談の許可について裁量権を有しているが、探知義務を負うとき、その裁量の幅は無く、面談を許可或は職権により出願人に補正又は説明を通知しなければならず、これを怠る場合、その裁量権の行使には問題がある。


2.行政手続中の国民の釈明権の保障(行政手続法第1条の「法による国民の権益の保障」及び第102条の「国民の釈明権」)

(1)行政手続法における国民の釈明権、行政手続において聴聞を受ける権利の保障に基づいて、特許主務官庁は国民に答弁又は説明の機会を与え、国民の行政機関に対する信頼を増進させ、行政手続法における効率の原則を実現しなければならない。

(2)出願人の真意が不明又は出願人の補正が実質変更に当たるため、これを受理できないとき、行政機関が探知義務を負う以上、職権により出願人に面談又は答弁を通知しなければならない。行政機関が出願人の面談について処置を講じず、又は釈明を求めるいかなる通知も送付せずに、直接疑義のある原明細書の内容に基づいて審査を行えば、行政手続における釈明という出願人の正当な権益の保護に注意を払わないことになり、特許法の立法趣旨に反する。

(3)行政行為は信義則に合致しなければならない(行政手続法第8条の「行政行為の信義則」)

智慧財産局は、初審査及び再審査段階での各公文書において「A」についてのみ言及し、特許明細書の「B」が「A」の誤記であり補正を要すると認めていたと考えられるが、その後出願人が自発的に誤りに気付き、補正を請求したときには、突然見解を変えて該補正を認めなかった。これは明らかに信義則に反する嫌いがある。
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