ニューズレター
従業員が取得した株式の譲渡制限に関する解釈
会社法の規定によると、従業員が会社から株式を取得する方法は次の4通りである。
1.第167条の1の規定により、会社が自社株を購入し(金庫株)、これを従業員に譲渡する。
2.167条の2の規定により、会社と従業員がストックオプション契約を締結し、これを以って従業員が一定期間内に約定価格により特定数量の会社の株式を引き受けることができることを約定し、契約締結後、会社は従業員に株式引き受け証を発行する。
3.第240条の規定により、会社が純利益を資本に充当することを決議した際、定款により従業員に分配すべき配当について、新株を交付することができる。
4.第267条の規定により、会社が新株を発行するとき、発行した新株総数の10~15%を会社従業員が引き受ける。
前述の4通りの方法で従業員が取得した株式について、会社は従業員がその株式を譲渡するのを制限することができるか否かにつき、 経済部の見解によれば、会社法第267条第6項の規定により、会社は従業員が新株引受権を行使して引き受けた株式について、一定期間その譲渡を制限することができる。但し、その期間は2年を超えることはできない。第167条の2については、従業員の株式引受権のために発行した新株は、会社法第267条第7項の規定によれば、前述の、従業員に一定期間内の譲渡の制限を認める規定を適用しない。
このほか、従業員は第167条の1により譲り受けた金庫株、又は第240条第4項の規定による株式配当は、性質上、会社が増資目的で発行した新株ではないので、前述の第267条第6項を適用しない。したがって、会社法第163条第1項の株式自由譲渡原則により、会社は任意で従業員に対し一定期間内持株を譲渡しないよう制限することはできない。