ニューズレター
投資設立した新事業の結合届け出義務
公平交易委員会が公研釈012号で示した見解を以下に簡単に説明する。公平交易法は結合する規範対象を結合時の既存の事業に限っており、事業者が他の事業者と共同で投資を行い事業を新設する行為は、公平法適用の対象としない。
しかしながら、上記の見解は、公平交易法の結合規制の適用範疇を縮減しており、公布以来疑問を呈する声も少なくなく、公平交易委員会は、2002年8月8日の第561回委員会において、該見解を廃止することを検討し、以下の理由に基づいて、2002年8月20日に公法字第091008126号通達をもって公告し、2002年8月20日から該会公研釈012号の解釈の適用が停止される。
1.各国の立法例は全て新設事業を結合規範に組み入れて規制している。
2.公研釈012号解釈適用の結果、規制メカニズムにおいて「行為」重視、「構造」軽視を引き起こすおそれがある。
3.公平法が結合を規制する立法目的は、主に独占形成及び市場支配力の過度の集中による弊害を防ぐことにあり、したがって、事業者が既存事業又は新設事業のいずれに投資しようとも、その結合の結果、市場を独占し、取引き秩序に影響を与えるおそれがある場合、規制する必要がある。
4.公平交易委員会の成立初期に作成された公研釈012号解釈は、結合規制コストが極めて高く、また事業者結合運営コストの増加を避けるなどの要素を考慮している。しかし、公平交易法の結合規制は、2002年2月6日に事前申請認可制から届け出異議制に改正されており、並びにより高い2重のスレッシュホールドが採用され、届け出のスレッシュホールドが大幅に引き上げられ、その結果、当時問題となっていた行政コスト及び結合事業運営コストの増加の問題は既に解決された。
5.公平交易会は、金融持ち株会社の設立(新設事業)に対する審査に既に介入し、明文で次のように示している。事業者が既存事業又は新設事業のいずれに投資しても、それが該事業者の市場に対して生じ得る競争制限の効果は同じであるので、公平法第6条第1項にいう「他の事業者」は、結合時の既存事業をその規範対象とするほか、新たに設立される事業もこれに含まれる。簡単に言えば、事業者と他の事業者が新設事業に共同で投資し、公平法第11条第1項の結合要件に合致している場合、公平会に届け出なければならない。