ニューズレター
他人による先使用を知悉している商標は登録不可
同一又は類似の商品について他人の先使用商標と同一又は類似の商標であって、出願人が当該他人と契約、地縁、業務又はその他の関係により、その当該他人の商標の存在を知っている場合、商標登録を受けることができない。このことは商標法第37条第14号に明確に規定されている。しかし、商標登録出願人が既に他人の商標の存在を知っていたか否かを証明することは難しいため、これまで智慧財産局又は行政裁判所が該条項の事情に合致すると認めるのは、商標登録出願人がかつて該他人の経営する販売店又は代理店にいたことのある場合、或は、かつてその他の商業行為のために互いに接触したことのある場合に限られていた。「その他の関係」により他人の商標の存在を知っている、という情況については、極めて少数の具体案しか存在しない。台北高等行政裁判所2000年度訴字第4101号判決のある商標異議申立事件についての判示は、参考とすることができる。
該判決では、次のように指摘している。本件商標登録出願人が商標登録出願前に該商標が他人のために存在する商標であることを既に知っていたことを証明する直接的な証拠がなくても、本件商標登録出願人の弟はかつて本件商標と類似する商標を登録出願して却下処分を受けており、これら2つの商標登録出願はともに同じ商標代理人から提出されている。また、本件商標登録出願人はその弟と同じ電話番号を用いて同一又は類似の業務を行っており、これらの事実から、本件商標登録出願人はその弟から他人の商標の存在を聞いて既に知っていたと推論することができる。