ニューズレター
特許権存続期間の遡及的延長
台湾の特許法は1997年及び2001年に相次いで改正され、台湾のWTO加盟後、一部の発明特許権及び意匠権の存続期間は、遡及的に延長することができることとなった。特許権存続期間の遡及的延長に関る事項を次の通り摘録する。
1.由来
(1)1997年の特許法改正
WTOの貿易関連知的財産権に関する協定(TRIPs)の基準に合致させるため、立法院は1997年に特許法を改正した。改正された規定により、意匠権の存続期間は、出願日から起算して12年に延長される。前述の改正特許法は、1997年5月7日総統により公布され、WTOの貿易関連知的財産権に関する協定(TRIPs)が台湾において発効する日(2002年1月1日)より正式に施行された。
(2)2001年の特許法改正
1997年の特許法改正に引続き、2001年10月、立法院は再び特許法改正案を可決した。前述の改正条文の内台湾がWTOに加盟してから施行される第24条(国際優先権請求に係る互恵条件の緩和)及び第118条の1(意匠特許権者の補償金請求権などに係る規定)を除く全ての条文は、既に2001年10月26日から正式施行された。
2.特許権存続期間の遡及的延長の法の本源規定
(1)発明特許権
1994年の改正特許法第50条の規定により、発明特許権の存続期間は、出願日から起算して20年をもって満了とする。但し、1994年1月23日より前に公告された発明特許権の存続期間は、公告日から起算して15年をもって満了とするが、出願日から起算して18年以下とする(以下、短い発明特許権と称する)。2001年10月の改正特許法の規定により、世界貿易機関(WTO)のTRIPs協定が台湾の管轄区域において発効する日に(2002年1月1日)、特許権がまだ存続している発明特許の特許権存続期間は、出願日から起算して20年をもって満了とする。換言すれば、2002年1月1日に依然として存続している短い発明特許権は、その存続期間が遡及的に延長され、出願日から起算して20年をもって満了とする。
(2)意匠権
1994年の改正特許法第109条の規定により、意匠権の存続期間は、出願日から起算して10年をもって満了とする。但し、1994年1月23日より前に公告された意匠権の存続期間は、公告日から起算して5年をもって満了とするが、出願日から起算して6年以下とする(以下、短い意匠権と称する)。1997年5月7日の改正特許法の規定により、意匠権は出願日から起算して、12年をもって満了とする。また、2001年10月の改正特許法の規定により、世界貿易機関(WTO)のTRIPs協定が台湾の管轄区域において発効する日に(2002年1月1日)、意匠権がまだ存続している意匠権の存続期間は、1997年5月7日の改正特許法の関連規定により取扱う。
換言すれば、2002年1月1日に依然として存続しているより短い意匠権は、その存続期間を遡及的に延長し、出願日から12年をもって満了とする。
3.特許権存続期間の遡及的延長手続
存続期間を延長できる特許権の特許権者は延長された存続期間の年金を納付し、知的財産局が存続期間延長を追記できるよう、登録証の原本を知的財産局に提出しなければならない。
特許権延長期間の年金納付について、知的財産局はその関連規則を、次の通り定めている。
(1)延長された存続期間の年金納付は、2001年11月に公表された改定特許手数料規則所定の金額に従って納付しなければならない。改定特許手数料規則に従い、官納の特許手数料は2002年1月1日より値上げされる。また、特許法第85条第2項の規定により、特許料は数年分をまとめて納付することができる。一括払い後特許料が改定された場合、その差額を追納する必要はない。但し、上記の規定は特許権延長期間の年金納付には適用されない。換言すれば、特許権者は改定前の旧規則により安い料金基準に従って、特許権延長期間の特許料を一括して払うことはできない。
(2)知的財産局は特許権者から提出される特許登録証に特許権存続の延長期間を追記するが、手数料は不要である。なお、延長期間の追記は、要件ではなく、追記をしなくても、当年分の年金を納付していれば、存続期間が延長される。