ニューズレター
特許出願手続の簡略化
特許出願手続きを簡略化するため、知的財産局(中国語名称:智慧財産局)は、2001年7月18日に次のような公告を行った。
一、宣誓書及び特許出願権証明書類
1.宣誓書及び出願権証明書の書式
宣誓書及び出願権証明書に署名及び捺印の双方をする必要はない。発明者(中華民国国民又は外国人を問わず)は、署名又は捺印のいずれか一方を選択することができる。また、前記の2つの書類は1つの書面とすることもできる。
2.発明者死亡時の代替書類
発明者が死亡したため出願者が当該発明者の署名又は捺印を備えた宣誓書を添付することができない場合、発明者の相続人があらためて宣誓書に署名する必要はなく、相続人の署名又は捺印のある出願権証明書、相続証明書類(例えば、遺言状、裁判所判決などの証明書類)及び発明者の死亡証明書類を以ってこれに代えることができる。
3.宣誓書及び出願権証明書のファクシミリ書類及びその原本の同一性
出願者が宣誓書及び出願権証明書のファクシミリ文書で特許出願を提出し、かつ指定された期間内に宣誓書及び出願権証明書の原本を補充提出したが、その補充提出した原本とファクシミリ文書が同一でない場合、原本が知的財産局に送達された日を書類が揃った日及び出願日とする。出願者が原指定期間が満了する前に期限延長を申請し、並びに期限延長の許可を受け指定された期間内にファクシミリ書類の原本を知的財産局に送達した場合には、依然としてファクシミリ書類が知的財産局に送達された日を出願日とする。
4.発明者の署名又は捺印を備えた宣誓書及び出願権証明書を取得することができない際の代替書類
出願者が特許出願時に、発明者の署名又は捺印を備えた宣誓書及び出願権証明書を取得することができない場合、念書書及び関連証明書類を代替書類として添付することができる。前述念書の内容には、発明名称及び特許出願権取得に係る根拠を明記し、並びに「一切の法律責任を負う」旨の表明を備えなければならない。また関連証明書類とは、出願者が表明した事由が真実であることを証明することのできる以下に掲げる書類を指す。
(1)対応出願案がすでに外国で出願されていることを主張する場合、当該外国出願案の受理機関が交付した出願権証明書類の正本。正本がない場合には、公証を受けたコピーを代替書類とすることができる。
(2)出願する発明が雇用関係又は職務上の発明であることを主張する場合、その雇用契約、又は出願する発明が職務上の発明であることを証明できる証明書類の正本。正本がない場合には、公証を受けたコピーを代替書類とすることができる。
(3)出願者がすでに合法的に出願権を取得していることを証明できる証明書類の正本。正本がない場合には、公証を受けたコピーを代替書類とすることができる。
(4)優先権証明書類のうち、出願者が表明した事由が真実であることを証明できる部分。
(5)発明者が病気のため署名又は捺印することができない旨主張する場合、当該発明者の医療証明書の正本。正本がない場合には、公証を受けたコピーを代替書類とすることができる。
二、発明者の削除
特許出願案について査定前に請求により発明者を削除する場合、出願者は、その他の発明者による同意表明書をあらためて添付する必要はない。
三、外国企業支社の出願者資格
承認を受けた外国企業が支社の形態をもって中華民国内で営業する場合、特許出願提出の際に、当該外国企業の名義をもって出願者としなければならないが、その中華民国内の責任者を代表者として出願提出することができる。その中華民国内の営業所を出願者の住所とする場合には、特許代理人(弁護士、弁理士など)に出願手続きを委任する必要はない。
四、委任状
外国出願者が委任状に署名する際、署名及び捺印の双方をする必要はなく、いずれかを選択することができる。出願者が中華民国の自然人であるときも同様とする。出願者が中華民国の会社又は法人であるときは、出願書及び委任状に会社印又は法人を捺印しなければならない。ただし、代表者による署名部分については、捺印は特に必要ではなく、署名によることができる。
五、特許権又は特許出願権の譲渡の登記
特許権又は特許出願権の譲渡登記を申請する際、双方ともに代表がいる場合には、次に掲げる方法に従って処理しなければならない。
1.会社とその代表者間の譲渡であれば、会社が署名すべき書類について、その代表者がさらに署名する必要はない。株式会社においては、その監査役が署名することができる。有限会社であれば、その業務に利害を有さない「社員」が署名することができる。
2.会社と会社間の譲渡で、かつ譲渡人及び譲受人の代表者が同一人である場合には、譲渡人が署名すべき書類について、その代表者がさらに署名する必要はない。株式会社においては、その監査役が署名することができる。有限会社においては、業務利害関係を有さない「社員」が署名することができる。
六、特許出願権又は特許権の相続登記
相続人が複数あり、そのなかの一人又は数人のみで相続登記を申請する際、申請書、死亡及び相続証明書類、親等図(継承系統表)及び手数料に加え、特許出願権又は特許権の相続登記を申請する相続人は、次に掲げる書類のいずれかを添付しなければならない。
1.裁判所により交付された、相続登記申請に未参加のその他相続人がすでに相続を放棄した旨表明したことを証明できる証明書類。
2.公証を受けた被相続人の遺言状。当該遺言状の内容は、その特許出願権又は特許権を相続する相続人について確認できなければならない。
3.全相続人が共同で署名した遺産分割協議書、並びに前記協議書には全相続人の印鑑証明を添付する。前記協議書の内容には、特許出願権又は特許権の相続人の名称を明記しなければならない。
特許出願権又は特許権の相続登記を希望する相続人が上記のいずれの書類をも提出することができない場合、まず全相続人参加のもとで共同相続登記の手続きを行い、その後、当該特許出願権又は特許権について相続を希望する一部の相続人が、関連登記手続を行わなければならない。
七、契約書
各項の備えるべき書類に添付すべき契約書について、その他の用途があるとき、出願者は公証を受けたコピーを代替書類とすることができる。
八、ファイル閲覧手続
出願者又はその代理人が当局においてファイルを閲覧する際には、身分証の正本を携帯し、確認のために提示しなければならない。知的財産局が当該身分証をコピーして保管することはない。印鑑を携帯していない場合、署名を以ってこれに代えることができる。
前記の簡略化措置はすでに実施されており、特許に関連する申請の便宜をより一層図ることになると思われる。