ニューズレター
通信業に対する公平交易法適用の指針
公平交易委員会は、通信業者に対する公平交易法の運用の明確化のため、「電信事業者に対する公平交易法規範説明」(規範説明)を公表した。同規範説明は、通信業者が陥りやすい公平交易法上の違反行為を挙げ、また先進国において通信業者に適用されている競争規範を引用し、通信業者は、同マーケットにおいて如何に振る舞うべきか、更に公平交易委員会が当該産業におけるケースを如何に扱うか具体的に示している。
独占的地位を有する通信業者への規制につき、規範説明は、独占的業者が不当に低い価格設定、その他略奪的行為、相互補助、取引拒絶若しくは接続拒否、不当に長期の契約、取引相手変更の制限、又は独占的購買力の乱用等の行為により、如何に公平交易法の違反を構成するかを説明している。
また、通信業業者の合併・併合の認可審査の際に考慮される要素を規定している。
経済全体に関し、以下の要素が審査の際に考慮される:
1.当該合併・併合が有する生産性、資源の効率益分配及び動的効率への影響;
2.当該合併・併合が市場における競争の促進に資するか否か;
3.当該合併・併合がサービスの広域化、多彩化、及び品質向上に資するか否か;
4.当該合併・併合が国家競争力の向上に資するか否か;
5.合併・併合が上述の目的達成のために唯一の方法であるか否か;
6.当該合併・併合の当事者の内部利益を外部化するための計画;
競争制限の不利益に関し、以下の要素が審査の際に考慮される:
1.関連市場の構造及び同市場における集中の程度への影響;
2.関連市場における競争に顕著なマイナスの景況があるか否か;
3.当該合併・併合が関連市場への参入障壁を作る結果となるか否か;
4.当該合併・併合が消費者の選択の幅を著しく狭めることとなるか否か;
5.当該合併・併合により競争制限のための共同行為可能性が高まるか否か;
6.当該合併・併合により市場支配力の乱用の可能性が高まるか否か;
競争制限のための共同行為に該当する可能性のある通信業者の行為は、共同価格決定、共同数量制限及び市場分割、競争関係に影響を与える情報の交換、共同取引拒絶、共同研究・開発、技術・品質基準の共同設定、並びに接続料に関する合意である。公正な取引方法に反する可能性のある通信業者の行為は、取引拒絶、差別的取り扱い、不当廉売、不当景品、及び抱き合わせである。