ニューズレター
著名商標の認定要点の公布
台湾商標法によればと、他人の著名商標又は標章と同一又は類似の図案であって、公衆に混同・誤認を生じさせる虞れがあるものは、商標登録を受けることができない(第37条7号)。又、同一人が、同一の商標図案を、非同一又は非類似の性質上互いに関連する商品について、使用しようとするとき、防護商標の登録出願をすることができる。但し、著名商標は、性質上互いに関連する商品という制限を受けない(第22条2項)。しかし、前記「著名商標」の認定に関して、明確な基準がなかった。
知的財産局は1999年3月9日に「著名商標又は標章の認定要点」を公布した。同要点の主な内容は次の通りである。
1.著名商標とは、中華民国域内における広い範囲において関連消費者の間に知られている商標をいう。
2.著名商標は、中華民国において登録を受けたものに限らない。未登録商標につき本要点が定める要件を満たすものもこれに当てはまる。
3著名商標の認定に当たっては、次に掲げる各要素を総合勘案して判断しなければならない。
(1)商標の使用期間及び地域の範囲
(2)商標を使用した商品又は役務の範囲及びその売上高
(3)広告、宣伝の方法、回数、期間及び範囲
(4)商品又は役務の流通経路、販売場所
(5)商標の識別力の度合い
(6)商標の所有者の企業規模及び同社による多角化経営の可能性
(7)同業者又は消費者間における評判
(8)その他著名商標の認定に足りる要素
前記各要素は次の証拠によってこれを証明する。
(1)中華民国における商品又は役務に係わるインボイス、納入伝票、輸出入伝票及び売上高の明細等
(2)国内外の新聞、雑誌又はテレビ等のマスメディアによる継続的広告に関する資料
(3)全国各地における販売拠点及びその流通経路 、場所の配置状況
(4)商標商品・役務に関する同業者の評価、市場のシェア、広告費用のランキング、又は営業状況等のことを示す資料
(5)商標の使用開始時期及び継続使用を示す書類
(6)国外内における商標登録状況
(7)商工会議所、関連団体又はその他公信力を有する機関による証明又は市場調査報告等の資料
(8)関連主務機関の解釈又は関連事項に対する認定
(9)著名さを立証できるその他の資料
4.商標の使用はその所有者によるものとは限らない。同所有者の関連企業又は第3者による当該商標の使用行為は、当該商標の著名さの促進に役立つものであれば、著名さの判断に当たって斟酌される。
5.商標の使用を示す証拠には、商標及び日付の表示を有し、又は当該日付を判断できる資料を有しなければならない。なお、当該証拠は国内のものに限らない。但し、外国の証拠資料について、国内関連の消費者がそれを知りうるか否かによって証拠力を判断する。
6.著名商標自体に公序良俗に反する事情があり、又は著名に至ったまでに公序良俗又は法令に反する事情がある場合、著名商標と認定することができない。
7.著名商標の認定に当たっては、商標主務官庁は前記証拠物を基に、前記要素を総合勘案して判断しなければならないが、周知の事実については、この限りでない。
8.著名商標の認定時点
(1)商標法第22条2項但し書(著名商標の防護商標出願)に定める著名商標の認定時期は出願時とする。著名役務商標の認定は同じとする。
(2)商標法第37条7号(著名商標による後願排除)に定める著名商標の認定時点は他人による出願の提出時とする。
9.具体的な証拠の提出により、商標主務官庁が著名商標と認定した商標について、その認定日から二年経過していない限り、著名さを示す証拠を新たに提出する必要がない。但し、商標主務官庁は必要と認めるとき、商標の所有者に関連証拠の提出を命じることができる。