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新規性の擬制喪失における「直接置換」と進歩性判断との区別—最高行政裁判所114年(西暦2025年)度上字第577号判決をめぐる考察
専利法(専利:特許、実用新案、意匠を含む)第23条は、「特許出願に係る発明が、その出願より先に出願され、かつその出願後はじめて公開もしくは公告された特許出願または実用新案登録出願に添付される明細書、特許請求(実用新案登録請求)の範囲、図面に記載された内容と同一である場合は、特許を受けることができない。」と規定している。これは一般に「新規性の擬制喪失(拡大先願)」と呼ばれる規定である。一方、発明が「新規性」を備えなければならないという要件は、専利法第22条第1項に規定されており、その内容は以下のとおりである。「産業上利用することができる発明は、次の各号に掲げる場合のいずれに該当しないとき、本法により特許を受けることができる。 1.出願前にすでに刊行物に記載されたもの。2.出願前にすでに公然実施されたもの。3.出願前にすでに公然知られたもの。」一般的に、「新規性の擬制喪失」とは、異なる出願人が前後して「実質的に同一」の発明について特許出願をした場合、後に願が専利法第23条に違反するため、特許を認めるべきではないことを指する。一見すると、これは「新規性」を判断する際に、従来技術と出願しようとする発明が実質的に同一であるか否かを判断する基準と同じであるように思われる。しかし、専利実体審査基準2.6.4では、「新規性の擬制喪失でいう『内容が同一』について、その判断基準は本章2.4『新規性の判断基準』」の(1)完全に同一であること、(2)相違点が文言の記載形式、または直接的にかつ一義的に導き出せる技術的特徴にのみ存在すること、(3)相違点が対応する技術的特徴の上位・下位概念のみに存在することに加え、(4)相違点が通常の知識に基づいて直接的に置換できる技術的特徴にのみ存在することも含まれる。」とされている。つまり、「通常の知識に基づいて直接置換できる」ことは、「新規性の擬制喪失」の原因となるものの、「新規性喪失」の原因とはならない。言い換えれば、台湾の専利実務において、「新規性の擬制喪失」については、「拡大新規性」という判断方式が採用されている。
しかし、この「通常の知識に基づいて直接置換できる」という判断基準は、実際の訴訟における攻防では「進歩性」の判断基準と混同されやすく、区別が困難であることが多い。両者の境界線と適用について、最高行政裁判所114年(西暦2025年)度上字第577号判決は、現行の専利審査基準における「新規性の擬制喪失」に関する判断基準を是認するとともに、これに関する説明を示した。
本件実用新案登録無効審判に係る行政訴訟(審決取消訴訟)における係争実用新案は、「キノコ栽培用バックのキャップ」に関するものである。原審裁判所は、無効審判請求人が提出した証拠2(すなわち先願)の技術内容に基づき、係争実用新案の請求項1の特徴A(通気孔の口縁部を底壁と接続するよう調整すること)および請求項7の特徴B(篏合や留め合わせの代替として接着を用いること)は、いずれも通常の知識に基づく「直接置換」に属するとし、その結果、請求項1および7は新規性の擬制喪失に該当すると判断した。実用新案権者は上告において、原判決が特徴を「通常の知識に基づいて直接的置換可能」であると判断した論点は、実際には専利審査基準3.4.1.2における「進歩性」に関する判断原則を、新規性の擬制喪失の判断に誤って適用したものであり、そのため原判決には法規の不当な適用という違法があると主張した。
この争点について、最高行政裁判所は、新規性の擬制喪失および進歩性における「直接置換」の概念の本質的な違いを明らかにした。同裁判所は専利審査基準の内容を引用し、「微細な差異」が存在する2つの発明について、次のように指摘した。係争特許査定時に適用された専利審査基準における新規性の擬制喪失に関する規定によれば、「内容が同一」であるかどうかの判断基準は、「新規性の判断基準」を準用することに加え、「相違点が通常の知識に基づいて直接的に置換できる技術的特徴にのみ存在すること」も含まれる。例えば、引用文献に固定要素としてネジが記載されており、そのネジが当該引用文献に記載された技術的手段において「固定」および「取り外し可能」という機能さえ有していればよいものである場合、ボルトもこれらの2つの機能を有しているため、特許出願に係る発明において、当該引用文献のネジを単にボルトに置き換えたにすぎない場合は、通常の知識に基づく直接置換に該当すると解される。
同裁判所はさらに次のように区別した。
1. 新規性の擬制喪失における「直接置換」:これは、置換前後の「技術的特徴そのもの」が同一の機能を有するかどうかを判断するものであり(単一の引用文献に基づき、出願時の通常の知識に照らして置換を行うものに限られる)、置換後の技術手段全体が同一の機能を発揮するかどうかは「考慮しない」。つまり、置換後の技術手段全体の作用効果に相違があるかどうかを考慮する必要はない。
2. 進步性における「容易に完成できる」:これは、技術的特徴の置換前後における「技術手段全体」が同一の作用効果を奏するかどうかを判断要件とし、複数の引用文献を組み合わせて置換を行うことが可能である。
上記の両者の概念および程度の違いに基づき、最高行政裁判所は次のように判断した。先願には、当該スリーブキャップの内側に設置される通気性パットの接合機能が記載されている。一方で係争実用新案において用いられる接着方法が接合機能を有するものであり、これは当該技術分野における通常の知識に属する。係争実用新案は単に接合方法を接着方法に置換したにすぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者(当業者)であれば通常の知識に基づいて直接置換可能なものである。また、係争実用新案の請求項は通気性パットの使用面積をさらに限定しておらず、解決しようとする課題も部品コストの削減ではないため、係争実用新案が新規性の擬制喪失に該当するとした結論には影響しない。
さらに、「当業者」(PHOSITA)の定義とその認定方法について、最高行政裁判所は次のように改めて述べている。PHOSITAは実在しない仮想人物であるため、その技術的能力と主観的な創作能力がどのようなものであるかは、「外部の証拠資料によってその能力を具体化しなければならない」。専利訴訟実務において、係争専利の技術分類、および出願当時における当該技術分野の技術水準は、いずれもこの仮想人物の能力を具体化するための参考資料として用いることができる。この人物の技術的能力が当事者双方の攻防を通じて徐々に明らかになってきた際には、自然法則に反しない範囲で、論理則や経験則に基づき、客観的に判断すべきである。
前述の判決趣旨によれば、専利出願の過程において、ある請求項が先願に係る発明と比べて新規性の擬制喪失に該当するかという問題に直面した場合、その争点が特定の細部の技術的特徴が「直接置換」に該当するかどうかにあるときには、専利実務者は、その特徴の置換前後において、「特徴そのもの」の機能が異なるものへと転換しているかどうかを慎重に検討すべきであり、「技術的手段全体の効果」や進歩性に基づく反論の論理のみで対応してはならない。もし当該細部の特徴の機能が置換前後で完全に同一である場合には、請求項に他の技術的特徴を追加し、先願における開示内容との相違をさらに明確にすることを検討するのが望ましい。