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模倣品販売における商標権侵害の主観的構成要件「明らかに知りながら」の判断



一、「他人」がなした模倣品の販売に関する法規

 

商標法第97条第1項は、「他人がなした前二条の商品であることを明らかに知りながら販売し、または販売する意図をもって所持、陳列、輸出若しくは輸入した場合は、1年以下の有期懲役、拘留または5万台湾元以下の罰金に処し、またはこれを併科する」と規定している。本条に規定する犯罪行為は、「他人」がなした模倣品であることを知りながら販売し、または販売する意図をもって所持、陳列、輸出若しくは輸入した行為を処罰するものであり、「自ら」なした模倣品を使用した行為を処罰するものではない。

 

留意すべきは、商標法第97条第1項に規定する主観的構成要件は、行為者に「明らかに知りながら」の犯罪故意が存在することである。最高裁判所91年(西暦2002年)度台上字第2680号刑事判決の趣旨によれば、いわゆる「明らかに知りながら」とは、「直接故意」を指すものであり、間接故意や過失による不知の場合は、いずれも同条の罪に問うことは困難である。実務上、裁判所は個別案件の具体的事実に基づき、行為者に「明らかに知りながら」の犯罪故意が存在するか否かを総合的に判断する。例えば、犯罪者が販売に従事した期間、販売商品の商標の市場における知名度、販売価格、商品の出所、被害者との取引状況(例えば、下請け加工の有無)、商品上の商標表示などの客観的事実に基づいて判断する(商標法逐条解釈参照)。

 

知的財産および商業裁判所(以下「IPCC」という)114年(西暦2025年)度刑智上易字第18号刑事判決(判決日:20251120日)では、被告が商標法第97条第1項に規定する「明らかに知りながら」という主観的構成要件を有するか否かについて具体的な判断を示している。

 

二、事案の概要

 

被告はクレーンゲーム機の経営者であり、不明な販売者から商標を模倣した自動車玩具商品(以下「係争商品」という)を購入し、これをクレーンゲーム機内に公開陳列していた。警察が係争商品を購入して鑑定に付した結果、係争商品が模倣品であることが確認され、商標法第97条第1項前段に違反する事実に該当する。

 

三、判決の概要

 

本件判決は、最高裁判所91年(西暦2002年)度台上字第2680号刑事判決を引用し、商標法第97条第1項にいう「明らかに知りながら」とは、行為者が他人の商標を模倣した商品を販売したという事実について、明らかに知りながら、かつその発生を意図していることを指し、行為者が犯罪を構成する事実に対して、主観的に単に予見していただけで、消極的に放任し、または犯罪事実の発生を容認していた場合は、それは間接故意または過失に該当し、同条が規定する罰則対象とはならない、と指摘した。

 

本判決は、被告が係争商品が模倣品であることを主観的に「明らかに知っていた」とは認められない理由を以下のとおり示し、これにより控訴を棄却し、原審判決(台湾台南地方裁判所113年(西暦2024 年)度智易字第11号刑事判決)の被告無罪の判断を維持した。

 

1.商標権者の登録商標が関連する消費者に広く認知されていることを立証する関連証拠が提出されていないため、当該商標が玩具業界において著名商標であると判断することは困難である。

2.被告はクレーンゲーム機を経営しているが、玩具販売を業とする玩具小売業者ではないため、係争商品が商標権侵害商品であることを主観的に「明らかに知っていた」と判断することは困難である。

3.被告が購入した係争商品の仕入れ価格は正規品と大きな差があり、パッケージにもレーザー偽造防止ラベル等の特徴が見られなかった。しかしIPCCは、一般のオンラインショッピングプラットフォームや個人販売では在庫一掃セールや値下げ競争等が行われることが多く、またネットショップや個人販売者は実店舗がなく人件費が低いため、商品の販売価格が実店舗より低くなる傾向があることから、被告は仕入れ商品の価格のみをもってそれが模倣品であるか否かを判断することはできなかったとした。さらに、被告が本件商標が登録商標であることを確実に認識していたかについても疑義があることから、被告が正規の商標許諾商品に関する細部の特徴に特段注意を払っていなかったという理由だけで、被告に「明らかに知っていた」という主観的認識があったと認めることはできないとした。

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