ニューズレター
立体商標の商標識別性に関する認定
一、立体商標の識別性判断基準の概要
商標法第29条は以下のように規定している。
1 次に掲げる、識別性を欠く状況のいずれかに該当する商標は、登録することができない。
一 指定した商品又は役務の品質、用途、原料、産地又は関連する特性を描写する説明のみで構成されたもの。
(第2号以下略)
2 前項第1号又は第3号が規定する状況においても、出願人が使用しており、かつ取引上すでに出願人の商品又は役務を識別する標識となっている場合に、これを適用しない。
商標の主要な機能は、取引において商品・役務の出所を表示し、他人の商品・役務と識別する点にある。このため、商標登録には「識別性」が必要であり、先天的識別性がない場合は、市場での広範かつ集中的な使用による「後天的識別性」(セカンダリー・ミーニング)を証明できる場合に限り登録できる。
立体商標は非伝統的商標の一つであり、消費者は多くの場合、これを商品自体、商品の実用的機能または装飾形状と認識し、商品またはサービスの出所を示す標識とは見なさない傾向がある。立体商標の識別性認定には、経済部知的財産局が定めた「非伝統商標審査基準」が適用される。
非伝統商標審査基準3.2.3によれば、立体商標の出願態様は以下の類型を含む:
- 商品自体の形状
- 商品包装容器の形状
- 立体形状標識(商品または商品包装容器以外の立体形状)
- サービス場所の装飾デザイン
非伝統商標審査基準3.2.3は、立体商標が識別性を有しない場合として、以下を挙げている:
- 説明的な立体形状:立体形状が指定商品・役務の品質、用途、原材料または関連特性の説明である場合。
- 汎用的な立体形状:特定の商品・役務について業界で広く使用され、社会一般に広く知られている立体形状であり、業界の共通財産となっている場合。一人が排他的専用権を取得することで公正な競争に影響を及ぼすことを避けるべきである。
- その他識別性を有しない立体形状:例えば、単純な幾何学形状、営業場所の装飾デザイン、よく見られる装飾品など。
さらに、非伝統商標審査基準第3.2.4は、立体商標に機能的部分がある場合、一般の事業者が自由に使用できるようにして公正な競争を促進するため、創始者が専利法により一定期間の保護を受けることができる場合を除き、特定の者が商標登録によって長期間独占的に使用することはできないとしている。機能性の判断基準は以下の通りである。
- 商品の機能または目的の達成に不可欠であるか
- ある種の技術的効果を得るために必要な形状であるか
- 製造方法・コストの点で簡単、安価又は有利となる形状であるか
知的財産・商業裁判所114年度行商訴字第3号行政判決(判決日:2025年7月31日)は、立体商標識別性の判断基準を示すとともに、専利法(特許法)と商標法の立法目的が異なるので、専利権の存在は商標登録の根拠とはならないと判示した。
二、事案の概要
原告は、立体商標「タイヤ形状図」(出願番号112007446号。以下「本件商標」)を第8類「手動工具、農業用手動器具、園芸用手工具」を指定商品として出願した。
しかし知的財産局は、本件商標がこれら商品の部品形状を想起させるとして識別性を欠くと判断し拒絶した。原告は訴願を申立てたが棄却され、本件行政訴訟を提起した。
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系爭商標圖樣本件商標図案 |
三、判決理由
(一) 本件商標は「先天的識別性」を欠く
- 本件商標は車両タイヤの外形、車軸、ホイールおよび螺旋状の立体パネルから構成され、その立体形状は「車輪全体」であり、車軸は単純に螺旋状の線で輪郭が描かれており、一般的な車輪の車軸や業界で通常用いられる形状と比べて顕著な違いはない。
- 車軸の線が商標全体の図案に占める割合や形状、タイヤ上の不規則な幾何学模様の形状は、客観的に見て特に他人の注意を引くものではなく、全体的な外観は手工具、農業用器具等の商品の関連部品自体の形状を想起させやすいものである。
- 商標の識別性は、出願人が高い研究開発コストを投入したかどうかとは無関係である。
(二) 原告が提出した資料は本件商標の「後天的識別性」を証明するに足りない
原告は実体商品および写真、商品マーケティングDM、展示会写真、「農業用座席移動車輪」実用新案証書、原告による模倣品事件に関する声明のスクリーンショットのみを提出した。商標が指定商品に使用されていることについて、販売量、売上高、市場占有率、広告量等の証拠は提出していない。したがって、我が国の関連消費者が本件商標を商品出所の識別標識として認識しており「後天的識別性」を有していることを証明することはできない。
(三) 専利権の取得は商標登録の根拠とならない
専利法は産業の発展を奨励・促進し、技術革新の奨励と公益のバランスを図ることを目的としており、限定された期間のみ保護を与え、期間満了後は関連創作が公衆の自由利用資源となる。一方、商標の機能は商品またはサービスの出所を識別することであり、商標権者は商標権の存続期間満了後も、回数の制限なく期間を延長して永久的な保護を受けることができる。
四、結論
実務上、立体商標の識別性認定には厳格な基準が採用されており、立体形状が極めて特異で業界で一般的に用いられる形状と顕著に異なり、かつ強い印象を与える場合にのみ、先天的識別性が認められ登録が許可される。そうでない場合、出願人は当該商標が市場で継続的かつ広範に使用されていることを十分に証明する証拠を提出しなければ、後天的識別性を主張して登録を取得することはできないので留意する必要がある。
※日本語版は、中国語版をベースとして作成しましたが、一部内容の簡略化、又は補足を行っています。
