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知的財産に関する紛争において、企業は業務上の信用について損害賠償を主張できるか―最高裁判決を踏まえて



知的財産に関する紛争事件において、会社が自己の業務上の信用が相手方の侵害行為によって損害を被ったと考える場合、相手方に対して損害賠償を請求できるのか。1986年の專利法改正においては、この点を肯定する見解が採用された(専利:特許、実用新案、意匠を含む)。当時の專利法第82条第2項には、「專利権者の業務上の信用が侵害行為によって減損た場合、別途相当額の賠償を請求できる」との規定が追加された。立法理由では「専利権者が侵害を受けた場合、第1項に基づき損害賠償請求が可能であるものの、第1項は財産的損害のみに限定していたため、財産的損害に該当しない業務上の信用の減損についても請求できるよう、第2項を新設した」と説明されている。

しかし、この規定は2011年の専利法改正で削除された。立法理由は、以下のとおりである。

「法人には精神的苦痛という概念がないため、裁判実務上、名誉が毀損された場合には新聞公告による謝罪で名誉回復は十分であり、慰謝料の請求は認められないとされている。したがって、特許権者の業務上の信用が侵害によって減損したときに別途相当額の賠償請求をできると專利法で規定することは、專利権者が法人である場合民法の損害賠償制度との整合性を欠くおそれがある。よって本項を削除し、民法の不法行為体系に戻すこととした」

ところが、昨年、台湾の最高法院(最高裁判所に相当。以下「最高裁」という)は、「法人は名誉または信用の損害による非財産的損害について賠償を請求できない」とする従来の見解を変更した。

まず、最高裁は20256月に112年(西暦2023年)台上大字第544決定において以下のような見解を示した。

  法人の権利義務は、法令上または性質上の制限がある場合を除き、原則として自然人と異ならない。民法第195条第1項に列挙されている人格権のうち、名誉・信用権は法人も享有し得る。同項の「非財産的損害」は必ずしも「精神的苦痛」と同義ではない

  ただ、法人の名誉または信用が侵害された場合、実際には感性的認知能力を有しないため、自然人とは本質的に異なり、受ける非財産的損害の内容も異なる

  したがって、設立目的の達成に重大な影響を及ぼし、かつ金銭的評価が不可能な損害に限り、法人は損害の内容を説明し、損害の存在について証明責任を尽くした上で、民法第195条第1項の規定に基づき相当額の賠償を請求できる。

この決定に続き、最高裁は202573日に、知的財産に関する上訴事件において、110年(西暦2021年)台上字第580号判決知的財産商業裁判所原判決を破棄し、差戻した。本件では、原告は、被告(專利権者)が專利期間満了後にもかかわらず、原告の上場後に別件訴訟を提起し、その結果、原告は当該訴訟が提起されたという重大情報を公表せざるを得なくなったと主張した。原告は、被告の行為が公平交易法(日本の不正競争防止法及び独占禁止法に相当。)及び民法等の規定に違反し、原告の業務上の信用を損なったとして、被告に損害賠償を請求した。

第一審では原告の請求の一部が認められたものの、第二審の108年度(西暦2019年)民公上字第4号判決で原告敗訴の判断が2020326日に出された

原告が最高裁に上訴した結果、最高裁は前述の110年度(西暦2021年)台上字第580号判決で第二審判決を破棄し、差戻した。

最高裁は判決理由で明確に、「法人の名誉または信用が、不法行為または債務不履行により侵害され、その結果、設立目的の達成に重大な影響を及ぼし、かつ金銭的評価ができない損害を被った場合、民法第195条第1項前段の規定に基づき、相当額の賠償を請求することができる。法人に精神的苦痛がないことのみを理由として請求を一律に否定してはならない」と判示した。さらに、最高裁は上記の112年(西暦2023年)台上大字第544決定を引用し、「法人には精神的苦痛がないため、業務上の信用損害による非財産的損害賠償を請求できない」とした第二審裁判所の見解は採用できないと指摘し、第二審判決を破棄差し戻した。

これらの判決が示されたことを踏まえ、專利法が今後改正されるかどうかは、所轄官庁および立法機関の評価を待つ必要がある。また、專利法が改正される前に、当事者が上記判決を引用して業務上の信用損害による賠償を主張した場合、裁判所がどのように対応するかについては、今後の裁判実務の動向を注視する必要がある。

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