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2023年専利実体審査基準の一部改訂


Jason Chuang

専利(特許、実用新案、意匠を含む)法施行規則及び専利権存続期間延長登録審査決定方法(中国語「專利權期間延長核定辦法」)の改訂、並びにWIPO 標準ST.26形式に準拠したXML配列表の適用開始に伴い、審査実務のニーズに迅速に応じるため、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、2023年に「専利審査基準」第2「特許の実体審査」第1章、第3章、第4章、第5章、第10章、第11章、第14章、及び第5篇「無効審判審理」第1章、第2章の一部改訂を予告し、改訂案は202371より発効した。今回の改訂のポイントは以下のとおりである。

 
一、第2篇第1章「明細書、特許請求の範囲、要約及び図面」
 
1.4節「審査における留意事項」において、明細書に引用された従来技術が引用文献として認められるか否かの原則を明確にするために、項目(5)が新設された。
 
具体的には、「明細書に引用された従来技術の公開日が記載されていない、又は確認できない場合は、信義誠実又は禁反言の原則に基づき、原則として従来技術として認められるべきであり、特許要件を判断する根拠として使用することができる。ただし、出願人が、明細書に引用された技術が未公開の社内技術であることを証明する具体的な事実証拠があると応答した場合は、当該従来技術は、特許出願に係る発明が特許要件を満たさないと判断する根拠としてはならない。」とされた。
 
二、第2篇第3章「特許要件」
 
5.7節「権利の接続」において、項目(4)が改訂され、特許と実用新案の二重出願(同一出願人が同一の創作について同日に特許と実用新案登録を併願する)場合、当該特許出願が査定される前に分割出願がなされ、同時に原特許出願の声明を援用した場合、この改訂により、原出願又は分割出願の特許査定前に、1つの特許出願のみを接続出願とすることができることを確認する旨を出願人に通知しなければならない。
 
具体的には、「原出願又は分割出願のいずれかが特許査定前に、同一の創作が依然として存在する場合、1つの特許出願のみを接続出願とすることができることをを確認する旨を出願人に通知しなければならない。これにより、同一の創作について台湾で同日にそれぞれなされた1つの特許出願と1つの実用新案登録出願に対して権利の接続を付与することができるという立法趣旨に合致するものとなる。」とされた。
 
三、第2篇第5章「優先権」
 
2.7「審査における留意事項」において、方式審査基準第1篇第7章の規定を参照し、後願が国内優先権を主張した後、査定される前に、先願が出願日から15ヶ月未満であれば、国内優先権を主張していない部分について分割出願することができ、その分割出願は、国内優先権の主張の基礎とすることはできない旨の規定が新設された。
 
具体的には、「後願が国内優先権を主張した後、査定される前に、先願が出願日から15ヶ月未満であれば、国内優先権を主張していない部分について分割出願することができ、その分割出願は、国内優先権の主張の基礎とすることはできない。」とされた。
 
四、第2篇第10章「出願の分割と変更」
 
1.       1.2.1節「形式要件」において、202351日付の改訂専利法施行規則第28条第3項に合わせて、以下の説明を新設した。
 
具体的には、「分割出願の明細書が原出願の出願時の明細書の内容を完全に援用しない場合、出願人の権益を保護し、審査の効率化を図り、分割出願が原出願の出願時の明細書に開示された範囲を超えるか否かを正確に判断できるよう、出願人は、分割出願の明細書と「原出願の出願時の明細書」との相違点に線を引いたページを提出しなければならない。元の内容を削除する場合、削除する文字の上に取消し線を引き、新しく内容を追加する場合、新しく追加した文字に下線ををひくこと。また、分割出願の願書において相違点を説明することができる」とされた。
 
2.       1.3節「出願の分割の効果」において、第3章第5.7節「権利の接続」の改訂に合わせて、原出願又は分割出願の特許査定前に、智慧局は、1つの特許出願のみを接続出願とすることができることを確認する旨を出願人に通知しなければならない旨が説明されている。
 
具体的には、「原出願又は分割出願のいずれかが特許査定前に、同一の創作が依然として存在する場合、1つの特許出願のみを接続出願とすることができることをを確認する旨を出願人に通知しなければならない。これにより、同一の創作について台湾で同日にそれぞれなされた1つの特許出願と1つの実用新案登録出願に対して権利の接続を付与することができるという立法趣旨に合致するものとなる。」とされた。
 
五、第2篇第11章「特許権存続期間の延長登録」
 
1.       専利法第53条の「その他の法律の規定により、許可証を取得しなければならない場合」とは、薬事法第39条の規定により許可証を取得したものに限らず、希少疾病予防治療及び医薬品法第14の規定により許可証を取得した医薬品にも適用される。この改訂により、その法的根拠を明確にしている。
 
2.       202326日に予告された「特許権存続期間延長登録審査決定方法」(中国語「專利權期間延長核定辦法」)4条の改訂案に合わせて、以下のとおり改訂する。今回の改訂により、智慧局は、衛生福利部(日本の厚生労働省に相当。以下、「衛福部」という)が出願人の提出資料に基づいて確認した医薬品の許可証の発行に必要な国内外の臨床試験期間の審査資料(つまり、割印が押印された「データ独占期間及び国内外臨床試験一覧表」)を、特許権存続期間延長の判断基準とすることができ、出願人から送付された資料を改めて衛福部に送付し確認を受ける必要がなくなる。
 
六、第2篇第14章「生物関連発明」
 
202281日の智慧局による明細書の配列表の作成に関するWIPO 標準ST.26形式への完全移行に合わせて、配列表の記載要件が改訂された。
 
七、第5篇第1章「専利権の無効審判請求」
 
2.4.1.2節「無効審判請求趣旨の処理原則」においては、無効審判請求の趣旨に引用形式の請求項が含まれるが、当該請求項が引用した一部の請求項について無効審判請求の理由を説明していない場合について、審理の範囲と一事不再理の適用についての説明を追加し、事例を挙げている。
 
具体的には、「無効審判請求の趣旨には、多数項引用形式請求項及びその引用の一部の請求項の取り消しを請求する旨が含まれており、無効審判請求の理由において当該引用形式請求項が引用した一部の請求項の範囲についてのみ特許要件を満たさないと主張した場合は、主張した当該引用形式請求項が引用した一部の請求項の範囲のみを審理し、無効審判審決書に審理範囲を記載しなければならない。当該請求項の審決結果が無効審判請求不成立となった場合、その後、誰が、当該引用形式請求項において主張されていない一部の請求項の範囲に対して別途無効審判を請求しても、一事不再理は適用されない。」とされた。
 
八、第5篇第2章「特許権存続期間の延長登録の無効審判請求」
 
1.       2篇第11章「特許権存続期間の延長登録」の改訂に合わせて、希少疾病予防治療及び医薬品法第14の規定により許可証を取得した医薬品についても専利法第53条の適用を受ける旨の規定が新設された。
 
2.       2篇第11章「特許権存続期間の延長登録」の「6. 特許権存続期間の延長登録を認める範囲」の内容に合わせて、存続期間の延長登録が認められた医薬品、農薬の特許権の権利範囲を明確にするため、文言を修正した。
 
具体的には、「存続期間の延長登録が認められた医薬品、農薬の特許権については、その延長された特許権存続期間の権利範囲は、許可証に記載された有効成分及び用途で限定される範囲のみに及び、特許請求の範囲に記載され許可証に記載されていないその他の物、その他の用途又はその他の製法には及ばない。」とされた。
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