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釈字804号解釈【光ディスク違法複製罪事件】


Cathy C. W. Ting/Sophia Chen

知的財産裁判所、台北地方裁判所及び新竹地方裁判所の裁判官は、事件の審理過程において、著作権法の光ディスク複製罪の法定刑、非親告罪の設計については憲法に抵触するのではないかとの懸念があり、それぞれ訴訟手続停止の裁定後に司法院へ憲法解釈を申し立ててきた。同院は、上記裁判所による憲法解釈の申し立てに係る係争規定には共通性があるとして合併審理とした。それに関連する争点及び2021521日付で公表された大法官釈字第804号解釈(以下「本号解釈」という)のポイントは以下のとおり。

 

一、 著作権法の「複製」の定義は法律の明確性原則に違反するのかについて

 

 著作権法でいう複製とは、繰り返し制作することを指し、その意味は理解しがたいものではなく、これも改作(日本の翻案に相当)とは明らかに異なる。改作とは、原作の表現形式又は内容を修正し、創作要素を持っているものをいう。また、個別案件の事実が上述した複製の定義で規制する対象となるのかについては、当該法律で規制されている者にとって予見できるものであり、個別案件について司法機関も自ら審査、認定及び判断できることから、法律の明確性原則に違反していることはない。

 

二、 販売又は貸与を意図して光ディスクを無断複製した場合、一律6ヶ月以上の有期懲役を最低限の法定自由刑とすることは、憲法第8条が保障する人身自由の規定に反しているのかについて

 

 6ヶ月以上の有期懲役を法定自由刑の下限とすることは、著作者の合法的な権益及び関連産業の秩序を保護するため、販売、貸出を意図して光ディスクを無断複製、又は光ディスクの違法な複製物を頒布する行為を処罰するために設けられるものであることから、その追求する目的は重要な公共利益であることが明らかである。その危害程度は明らかに大きく、重い刑罰が科されることが必要と認められる。これらの加重刑罰の規定は、原則的にやはり立法裁量(立法形成の自由)に委ねられるべきものである。さらに、裁判所は、上記規定の構成要件を満たす犯罪行為について、依然として個別案件の事情により異なる程度の刑罰を宣告することができる。よって、6ヶ月以上の有期懲役を法定自由刑の下限とする規定は、憲法の「罪と罰の同等原理」(中国語「罪刑相當原則」)と比例原則に違反することはなく、憲法第8条が保障する人身自由の趣旨にも反していない。

 

三、 光ディスクの違法な複製物を頒布する罪に対して法定自由刑の下限及び併科できる罰金額を引き上げたこと、及び光ディスクの無断複製及び頒布罪をいずれも親告罪にしなかったことは、憲法第7条が保障する平等権の規定に反しているのかについて

 

 2003年及び2004年の著作権法改正当時、光ディスクの違法な複製行為は違法な複製行為の主要なタイプに属しており、悪質性が高く、関連する著作権産業に危害を与えると考えられていたことから、頒布する違法な複製物が光ディスクの場合の罪に対して、その法定自由刑の下限及び併科できる罰金額を引き上げ、処罰を加重することで侵害の防止を図った。また、複製物が光ディスクか否かにより親告罪とするかしないかを定めることは、侵害がより深刻な光ディスクの違法な複製又はその頒布の罪の追究にも資するものであるため、その目的達成に実質的に関連している。したがって、いずれも憲法第7条が保障する平等権の趣旨に反していない。

 

本号解釈によると、著作権法第91条第2項、著作権法第91条第3項、著作権法第91条の13項にいう「複製」は法律の明確性原則には違反しておらず、6ヶ月以上の有期懲役を法定刑の下限とすることも、憲法第8条が保障する人身の自由の趣旨に反していない。同様に、著作権法第100条但書も憲法第7条が保障する平等権の趣旨にも反していない。

 

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