ニューズレター
著作権が自ら楽曲をリクエストして証拠収集、裁判所の見解:「利用許諾された行為」とみなされ著作権侵害に該当しない
著作権侵害訴訟の実務(特にコンピュータ式(通信)カラオケ機器に関する紛争)においては、証拠収集方法として以下のような手法がよく見られる。すなわち、著作権者またはその委託を受けた証拠収集調査員が、被告の営業場所に立ち入り、その場所に設置されたカラオケ機器を自ら操作し、著作権者が著作権を有する特定の楽曲またはそのミュージックビデオをリクエストして録画し、この過程を証拠として保存し、そしてその映像を証拠として、被告店舗が無断で当該音楽著作物を複製し、かつ公開送信・公開上映したと主張して、侵害の排除および防止、ならびに損害賠償を求める民事訴訟を裁判所に提起するというものである。しかし、知的財産および商業裁判所(以下「IPCC」という)は、この種の証拠収集方法の証拠の能力を繰り返し否定している。
IPCCが2025年7月31日に下した114年(西暦2025年)度民著訴字第10号判決において、次のように指摘した。「原告は、2024年10月23日に原告が現場で撮影した録画画面のスクリーンショットや飲食店の領収書の写し等を証拠として、被告に上記の著作財産権侵害行為があると主張した。しかし、これらのスクリーンショットおよび領収書は、原告が調査員を被告会社へ派遣し、訴状別表記載の視聴覚著作物をリクエストした際に取得したものである。もっとも、このリクエストは証拠収集を目的として行われたものであるため、当該証拠収集調査員が行った公開上映および公開送信の行為は、事前に原告の同意または許諾を得たものと認められる。したがって、原告の証拠収集調査員が訴状別表記載の視聴覚著作物をリクエストした行為が、原告の公開上映権および公開送信権を侵害したとは認め難い。」これに基づき、IPCCは原告の侵害防止の請求は認めたものの、損害賠償に関する主張は退けた。
上記判決に先立ち、裁判所はすでに110年(西暦2021年)度民著上字第28号や112年(西暦2023年)度民著上更一字第8号など複数の判決において同様の立場を採っていた。著作権者は証拠収集を行う前に、これらの判決に特に注意すべきである。