ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中、店内飲食禁止措置による商標の不使用は、商標法第63条第1項第2号に規定する「正当な事由」に該当しない



一、商標法における3年以上不使用による登録取消事由および関連規定

 

台湾商標法第63条第1項第2号は「商標登録後、次のいずれかに該当する場合、商標主務官庁は、職権でまたは請求によりその登録を取消しなければならない。二、正当な事由なく使用せず、または使用を停止し続けて、すでに3年が経過した場合。ただし、被許諾者(ライセンシー)が使用している場合は、この限りではない。」と規定している。また、同法第67条第3項(同法第57条第3項を準用)により、商標権人が提出する使用証拠は、商標の真正な使用を証明するに足り、かつ、一般的な商取引慣行に合致するものでなければならない。

 

また、2019823日付経済部経授智字第10820032230号令により改正公布され、同日発効した「登録商標使用に関する注意事項」第3.3の規定を参照すると、商標法第63条第1項第2に規定する「正当な事由」とは、商標権者が事実上の障害その他自己の責めに帰することができない事由により登録商標を使用できない場合を指し、以下の状況を含む。

 

(一)医薬品は上市前に薬事行政主務官庁へ承認申請を行い、承認を得てはじめて上市することができる。承認前は、不使用の正当な事由とみなすことができる。

 

(二)台湾はまだ中国で製造された酒類商品の台湾への輸入販売を開放しておらず、これは不使用の正当な事由とみなすことができる。

 

(三)海運途絶、原材料不足、または天災地変により、工場設備に重大な損害が生じ、一時的に操業や販売ができなくなる場合などは、いずれも不使用の正当な事由に該当する(行政裁判所55判字第301号判決参照)。

 

(四)破産および清算:会社は、破産または清算の期間中、現務の結了および清算手続きの円滑化を目的とする場合を除き、その営業活動能力を失う。ただし、商標は商業上の財産価値を有し、会社の資産の一部とみなされるべきである。破産手続中に商標が使用不能となり取消されることで債権者の債権が回収不能となる事態を回避するため、商標の不使用は正当な事由とみなされるべきである。

 

したがって、商標権者は登録商標を真正に使用すべきであり、その使用は一般的な商取引慣行に合致しなければならない。これは商標権者が自身の商標権を維持するための使用、すなわち商標権維持のための使用とも呼ばれる。正当な事由なく使用せず、または使用を停止し続けて3年が経過した場合、登録商標の取消事由を構成する。真正な使用の有無については、その取引期間、商品の種類、売上高、取引方法などが一般的な商取引慣行に合致するか否かなどの事実関係に基づいて判断されるべきである(最高行政裁判所110年(西暦2021年)度上字第303号判決趣旨参照)。

 

二、事案の概要

 

原告が所有する登録第24002号「凱仕KISS」商標(以下「係争商標」という)は、第43類「レストラン、カフェ、バー、ホテル、旅館、モーテル、旅行代理店等の飲食・宿泊サービス」への使用を指定されている。2022111日に、参加人は係争商標が正当な事由なく連続して3年間使用されていないとして、被告である智慧財産局(以下「智慧局」という)にその商標登録の取消しを申し立てた。智慧局は2024613日付で、中台廃字第1110634号商標取消処分書を作成し、係争商標の登録を取り消すべき旨の審決を下した。原告はこれを不服として訴願を提起したが、経済部により棄却されたため、知的財産および商業裁判所(以下「IPCC」という)に行政訴訟を提起した。

 

三、判決の概要

 

原告は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに対応するため、台湾政府が20215月に警戒レベル3を発令し、飲食業者の店内飲食を禁止した結果、営業を停止せざるを得なかったため、警戒レベル3の期間中に係争商標の使用を継続しなかったことには正当な事由があると主張した。

 

原告の主張に対し、IPCCは以下のように判示した。台湾政府は新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中に、国内の飲食業者に対して一律テイクアウトのみをを義務付け店内飲食を禁止したものの、こうした措置は全面的な営業停止に至るほどではなかった。さらに、たとえ不可抗力に直面した場合であっても、 商標権者は、登録取消しのリスクを低減するため、ライセンス供与やネット販売等の方法を通じて、可能な限り商標の有効な使用を維持すべきである。したがって、係争商標の使用が完全に不可能であったわけではない。仮に原告が当時実際に営業停止状態にあったとしても、感染症の収束後すぐに証拠を提出して被告(智慧局)に救済を求めることができたはずである。さらに、警戒レベル3が解除してから(2021727日)参加人が取り消しを申し立てるまで(2022111日)の間、原告には1年以上係争商標を使用できる期間があった。

 

IPCCは、原告が提出した事実や証拠はいずれも、取消申立日前3年以内に指定役務「レストラン、カフェ、バー、ホテル、旅館、モーテル、ビアホール」において係争商標を使用した事実を認定するには不十分であり、また、その係争商標の不使用に正当な事由がないことから、商標法第63条第1項第2号の規定が適用されるべきであると判断し、これにより、原処分および訴願決定の取消しを求める原告の訴えを棄却した(知的財産および商業裁判所113年(西暦2024年)度行商訴字第66号行政判決)。

 

四、結論

 

台湾の裁判所は、商標権者が登録商標を連続して3年間使用していない場合、商標法第63条第1項第2号にいう「正当な事由」に該当するか否かを審理するにあたり、個別事案ごとに判断する原則を採用しているが、本件においてついてIPCCは判決の中で以下のように明示している。商標権者が、台湾政府が新型コロナウイルス感染症のパンデミック期間中に警戒レベル3の措置を実施し、飲食業者の店内飲食を禁止したことを理由として、その期間中は登録商標を使用できなかったと主張したとしても、これは本号にいう「正当な事由」を構成するには不十分である。なぜなら、商標権者は依然として登録商標をテイクアウト用の容器、実体またはネット上の宣伝資料などに使用することで、商標法上の権利維持のための使用要件を満たし、他人による登録取消しのリスクを低減することができるからである。また、パンデミック期間中に営業を停止するか否かは、飲食業者の自主的な戦略的判断に委ねられ、商標権者の責めに帰することができない事由とはいえないため、これをもって正当な事由があると主張することも困難である。

回上一頁