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出願人が知っている従来技術は、必ずしも専利出願時の通常の知識ではない



専利(特許、実用新案、意匠を含む)有効性の判断にあたっては、多くの場合、その発明が容易に完成できるか、又は当該特許の明細書が明確かつ十分な開示な要件を満たしているかを判断するために、当業者の技術水準を確立する必要がある(専利法第22条第2項、第26条第1項参照)。

 
実務上、いわゆる「当業者」とは、出願時にその発明の属する技術分野における「一般知識(general knowledge)」と「通常の技能(ordinary skill)」を有する者を指す。「一般の知識」とは、その発明の属する技術分野における既知の知識を指し、周知又は普遍的に使用されている情報、教科書や参考書に記載されている情報、経験則から理解できる事項などを含む。また、「通常の技能」とは、定例の仕事、実験を行う通常の能力を指す。よって、出願時の「一般知識」と「通常の技能」を「出願時の通常の知識」という(専利法施行規則第14条、専利権侵害判断要点第1篇第22.3参照)。
 
しかし、専利権者が明細書に記載した「従来技術」(出願人が知っている従来技術)は、専利出願時の通常の知識といえるのだろうか。さらに、明細書に記載された「従来技術」によって、当業者の技術水準を確立することが可能なのか。
 
これらに対し、最高行政裁判所は、110年(西暦2021年)度上字第172号判決において、「係争特許の45頁の『従来技術』の段落に、台湾の特許第000000000号と特許第000000000号が記載されているが、その記載内容は、当該2件の特許は、係争特許が改良しようとする従来技術であることを示すものである。その2件の特許は、教科書や参考書ではなく、あくまでも従来技術であることから、係争特許の出願時の通常の知識とされることは困難である。よって、係争特許の明細書に記載されているだけで、係争特許の特許権者が両特許が周知技術であることを自認したという上告人の主張には誤りがある」と明確に否定的な立場をとっている。
 
以上より、特許権者が明細書において特定の従来技術が周知であると自認したとしても、その従来技術がその発明の属する技術分野において既知の知識であるか否かは、やはり一般の知識や通常の技能という上記の基準に基づき客観的に判断されなければならないことが明らかである。
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