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権利侵害行為における故意又は過失の認定基準



 専利法(日本の特許法、実用新案法、意匠法に相当)第96条第2項の規定により、特許権者は、故意又は過失によりその特許権を侵害した者に対し、損害賠償を請求できる。また、同法第120条の規定により、上記規定は実用新案登録にも準用される。専利事件における故意又は過失の認定について、知的財産裁判所は2021222付の109年(西暦2020年)度民専訴字第2号民事判決において、その認定方法を明示した。

 本件の原告は実用新案権者で、被告は係争実用新案権の侵害により損害賠償責任を負うべきであり、かつ被告はかつて原告と共同で展示会に参加し専利製品を知っていたことから、故意による侵害である旨を主張した。知的財産裁判所は判決において、原告の主張を認め、被告は故意による侵害であると判断した。その侵害者の故意又は過失の有無の論理構成は以下のように要約される。 

1、故意とは、行為者が専利権侵害を構成する事実を知りながら、かつそれを発生させる意思があること(これを直接故意という)、又はその発生を予見し、かつその発生がその本意に反しないこと(これを間接故意という)を指す。また、過失とは、行為者に故意はないが、状況次第で注意すべきであって、かつ注意できるにもかかわらず、注意を怠ったこと(これを認識なき過失という)、又はその結果発生の可能性を予見した場合であってもそれが発生しないであろうと確信すること(これを認識ある過失という)を指す。 

2、専利侵害事件において、メーカー若しくは競合他社と単純な小売業者、偶然の販売者等では、その損害の発生を予見し、又は結果を回避できるか否かの注意程度は当然異なり、個別事件の事実において双方それぞれの営業項目の規模及び売上高の状況、実際の接触の有無、侵害行為の実際の内容等の事情により、行為者に注意義務の違反があったか否かを判断しなければならない。 

3、専利権は登録及び公告制度を採用している以上、何人も知り得る状態にあることから、原告の係争専利を侵害しないよう、被告は係争製品の製造及び販売の際に容易に調べることができる。 

4、被告はODM製造業に従事しており、かつて原告と共同で展示会に参加した際に、原告に製造代行のニーズを問い合わせたことがあり、また、原告が提出した証拠によると、被告と原告の出展ブースの距離は近く、さらに展示会の写真ですでに原告の係争専利を実施した製品が完全に展示されていることから、係争専利の全ての技術的特徴はすでに開示されており、被告はそれを容易に知り得た。以上のことから、被告による係争専利の侵害行為は故意によるものであるという原告の主張を認めるに足る。

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