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コンピュータソフトウエア関連発明の審査基準改訂ポイント



 コンピュータIT業界はハイテク産業の重要な一環であり、化学技術の発展に伴い、コンピュータソフトウエアの応用はすでに私たちの生活の様々な場面に広く入り込んできている。コンピュータソフトウエア関連発明を保護し、コンピュータIT業界の発展を促進するため、台湾では199810月にコンピュータソフトウエア関連発明の審査基準を最初に公表し、また、2008年と2014年にそれぞれ改訂を行った。
 
 しかしながら近年、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ、ブロックチェーン、自動運転等の技術の勃興に伴い、各分野において新形態の応用と発明が推進されてきている。これらの発明の特許出願は通常、コンピュータソフトウエア又はコンピュータによってどのように機能が実現されるかという観点により審査が進められる。新テクノロジー及び新分野の変動に応じ、また審査実務のニーズに合わせるために、関連する審査基準を見直す必要があると思われた。そこで、経済部智慧局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、2020年からコンピュータソフトウエア関連発明の審査基準の改訂に着手しており、2021224には公聴会を開催した。改訂後の審査基準は、202171日より適用された。 

コンピュータソフトウエア関連発明の審査基準の改訂ポイントは、以下のとおりである。 

一、コンピュータソフトウエア関連発明における発明の定義(特許適格性)の判断原則を規定 

特許適格性の判断において、元のコンピュータソフトウエア関連発明の審査基準は、主に欧州特許の「更なる技術的効果」と米国特許の「単なるコンピュータの使用」との判断原則を採用している。しかしながら、実務上当該判断の流れは比較的に明確ではなく、一貫性にも欠けており、その中の「更なる技術的効果」の判断原則に至ってはさらに一部の進歩性の概念も示唆されている。コンピュータソフトウエア関連発明の多様化に対応するため、智慧局はイノベーション奨励に開放的なスタントをとっており、多くの国における発明の特許適格性に関する元の審査基準を検討した後、台湾と似た法制度を持ってる日本を主要な参考対象として、元の基準に規定された「更なる技術的効果」及び「単なるコンピュータの使用」との判断原則を削除し、請求項に係る発明を特許適格性の判断対象とすること、及び関連する判断手順ステップとフローチャートを定めて、さらに事例により補足説明することとした。また、判断原則をより明確にするため、発明の定義を明らかに満たすものと明らかに満たさないものを規定するに加えて、明確には判断できないものに関する審査規則についても新設した。 

二、コンピュータソフトウエア関連発明の進歩性判断原則と審査基準の進歩性に関する基本原則との一貫性を確保

 元の審査基準における進歩性に関する基本原則の内容に合わせ、「当該発明属する技術の分野における通常の知識を有する者」「進歩性を否定する要素」「進歩性を肯定する要素」に関する節を新設した。また、元のコンピュータソフトウエア関連発明の審査基準に規定された「技術分野への転用」「人間が行っている業務のシステム化」及び「従来技術のハードウエアで行っている機能のソフトウエア化」等の関連規定を、進歩性否定する要素としての「単なる変更」に盛り込んだ。例えば、多くのコンピュータソフトウエア関連発明は、従来技術と同一の又は類似するソフトウエア、操作フロー又はAIモデルを使用して異なる類型のデータを処理するもの(例えば、財務データ処理のソフトウエアを医療データ処理に応用する)であり、この類型の発明は、審査官に単なる技術分野の転用とみられ、進歩性を備えないと認定される可能性がある。よって、その発明が進歩性を備えると認められる機会を増加させるため、出願人はこれらの技術分野への転用の特許発明を出願する際に、明細書において当該技術分野の転用におけるソフトウエアとハードウエアとの協働作用で生じる技術問題、当該転用によりもたらされるハードウエア又はソフトウエアと従来技術に記載されたものとの相違点、及び当該相違点又は転用により奏する予期せぬ技術的効果等の内容を詳細に記載することを提案する。

三、AI等に関する審査事項と事例を新設 

元のコンピュータソフトウエア関連発明の審査基準に掲載されている事例は、すでに前述した新興産業にには適用されなくなったため、特許審査官及び特許業者の参考となるよう、今回の改訂では、AI及びその関連分野に関する多くの事例(例えば、不特許事由、特許適格性、進歩性、記載不備等に関する事例)が新設された。 

以上をまとめると、今回のコンピュータソフトウエア関連発明の審査基準改訂は、2回の改訂に比べて広範囲にわたって改訂されたものである。これにより、コンピュータソフトウエア関連発明に最適な保護を提供し、さらに審査の方法が明らかになったと思われている。

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