ホーム >> ニュース、出版物など >> ニューズレター

ニューズレター

搜尋

  • 年度搜尋:
  • 專業領域:
  • 時間區間:
    ~
  • 關鍵字:

「政府調達法」改正条文の正式施行



「政府調達法」の一部条文の改正案が2019430日に立法院にて可決されました。改正された条文は計18条、新たに追加された条文は計3条で、合計21条が改正・追加されました。2019522日に総統より公布され、2019524日より正式に発効となりました。

主な改正のポイントは以下のとおりです。

 

一、調達作業手続きの改善

(一)       政府機関が巨額工事の調達を行う場合、調達の性質及び実際の需要に基づき、調達作業及び審査グループを設立しなければならず、調達作業手続きをより周到させるため、その他調達で必要な場合もこれを準用するものとするとされました(第11条の1)。

(二)       現行の評価選考委員会の委員の人数上限を取り消し、また、評価選考作業が政府機関に偏りすぎているという疑いが生じないようにするため、政府機関が評価選考作業のため選任する「専門家学者」に政府機関の現職職員を選任してはならないとの規定が追加されました(第94条第12項)。

(三)       政府機関が調達戦略を柔軟に運用できるよう、総合評価落札方式の適用条件が緩和されました(第52条第1項)。

 

二、国家安全審査機制の追加

国家安全に関する調達について、国家安全を確保するため、わが国又は外国の事業者資格への制限条件及び審査弁法が新たに規定されました(第17条第4項)。

 

三、虚偽不実入札の要件の明確化

「政府調達法」第31条第2項第1号はもともと「偽造、変造の文書により入札」と規定されていたところ、「虚偽不実の文書により入札」へと修正されました。同法第50条第1項第4号は「入札文書の偽造又は変造」と規定されていたところ、「不実の文書により入札」へと修正されました。同法第101条第1項第4号はもともと「入札、契約又は契約履行に関する文書を偽造、変造した場合」と規定されていたところ、「虚偽不実の文書により入札、契約締結又は契約履行し、事情が重大な場合」へと修正されました。

これは、過去の実務見解では「政府調達法」のうち「偽造、変造」に関する構成要件について、刑法の偽造文書罪の構成要件が適用されない傾向にあったところ、今回「虚偽不実」又は「不実」等の用語へ改正されたことで、構成要件が明確に拡大されました。今後、入札又は契約の履行に関する文書が事実と合致しなければ、たとえ自己が作成した文書であっても、上記の入札保証金の没収又は権利停止の要件に該当することとなり、事業者により重い注意義務が課されることとなりました。よって、事業者は、入札文書の作成及び契約履行に関する文書の管理についてより注意を高める必要があります(第31条第2項第1号、第50条第1項第4号、第101条第1項第4号)。

 

四、入札保証金の追徴請求権の時効の追加

入札保証金の追徴請求権について、5年間行使しなければ消滅するとされ、更にその起算方法について新たに規定されました。また、入札保証金の追徴は、開札せず、落札者を決定せず、入札の取消又は落札者決定日から15年を超えた場合は、行使できません(第31条第456項)。

 

五、政府機関が事業者に対して負うべき損害責任の要件の追加

「政府調達法」ではもともと、計画、設計、監理又は管理の委託契約には、事業者の企画設計の誤り、不実な監理又は管理が不十分であったことにより、政府機関に損害を与えた場合の責任について明確に定めなければならないと規定されていました。

今回の法改正によって、今まで事業者の賠償責任しか規範されていなかったところ、調達契約には、一方当事者の履行の誤り、不実又は管理が不十分であったことにより、他方当事者へ損害を与えた場合の責任を明確に定めなければならないと修正されました(第63条第2項)。

 

六、職業安全衛生保障の強化

政府機関は、入札募集文書内に職業安全衛生法規に合致する安全衛生図及び規範を制定し、安全衛生費用の項目を設けなければならず、入札募集文書内に、事業者は、労働者に労働災害が生じるのを防ぐため、職業安全衛生法規に基づき必要な設備又は措置を採り、安全衛生管理及び訓練を実施しなければならないと規定しなければなりません。労働災害が生じた場合、政府機関は「政府調達法」及び契約の規定に基づき対処しなければなりません(第70条の1)。

 

七、賄賂行為の処罰の加重

(一)       調達に関する人員に対して要求、約束又は不正な利益を交付する等賄賂行為をし、入札保証金を返還しない又は追徴する状況に該当し、不良事業者に列挙された場合、3年権利が停止されます(第31条第2項第6号、第101条第1項第15号、第103条第1項第1号)。

(二)       前払いや後払いの謝礼金を支払うことを条件に調達契約の成立を促進した場合、契約違約金が賄賂金額の2倍に加重されます(第59条)。

 

八、政府機関が別途適法な処分を行わない場合の救済手続きの追加

申訴(不服申立の一種)審議判断書にて調達行為が法令に違反すると指摘された場合に政府機関が措置を取らない、又は数ヶ月もしくは1年以上引き伸ばした後に初めて処分を行うことにより、申訴事業者の救済時効が過ぎてしまう状況となることを避けるため、新法では、政府機関は審議判断書を受領した翌日から20日以内に別途適法な処置を取らなければならず、期限内に処置を取らない場合、事業者は期限満了後の翌日から15日以内に調達申訴審議委員会に対して申訴できるとの規定が追加されました。また、審議判断にて元の調達行為が法令に違反すると指摘されれば、事業者はその入札の準備、異議及び申訴のために支出した必要な費用の求償を政府機関に求めることができると規定されました(第85条第13項)。

 

九、不良な事業者の権利停止制度の改正

(一)       政府機関は事業者へ政府調達公報へ掲載することについて通知する際、入札に参加できない又は落札対象となることができない又は請負事業者となることができない期間についても通知しなければなりません(第101条第1項)。

(二)       権利停止の一部の事由について、実務の見解及び比例原則に合致するよう、「情状重大」の要件が追記されました(第101条第1項第49及び12号)。

(三)       政府機関は事業者へ権利停止の通知をする前に、事業者に意見陳述の機会を与えなければならず、また政府機関は調達作業及び審査グループを成立し、事業者が権利停止要件に該当するか否かを認定しなければならないと新たに規定されました(第101条第3項)。

(四)       政府機関は、権利停止に関する規定の「情状重大」要件への該当性について判断しなければならない場合、「政府機関が受けた損害の軽重、事業者の責めに帰することのできる程度、事業者の実際の救済又は賠償措置等が「事情重大」に達しているか否かを斟酌した上で初めて権利通知の不利益処分を下すことができると規定されました(第101条第4項)。

(五)       101条第1項第7号~第12号までの場合について、権利停止期間の累計加重方法が採用され、通知日より前の5年以内に政府機関により掲載されたことがない場合、初めて公報へ掲載されたとき、3ヶ月間権利が停止されます。2回目に公報へ掲載されたときは、半年間権利が停止されます。3回目に公報へ掲載されたときは、1年間権利が停止されます。このように事業者が過去5年間に権利を停止されたことがあるか及びその頻度によって、権利停止期間が異なります(第103条第1項第3号)。

 

十、文化創意、社会福利、グリーンエネルギー環境保護について

(一)       芸文団体が政府機関の補助を受けて調達を行う場合、「政府調達法」の規定は適用されないと新たに規定されました(第4条第2項)。

(二)       社会福利サービスの事業者選定弁法及びサービス費用の計算方法については、所轄官庁が中央目的事業所轄官庁と共同で規定すると授権されています(第22条第3項)。

(三)       政府機関は自然資源の保育の促進及び環境保護の目的に基づき技術規格を規定することができます(第26条の1)。

(四)       社会福利及び文化創意のサービスについては、底値を規定しない総合評価落札方式を採用することを原則とすることが新たに規定されました(第52条第2項)。

 

以上のとおり、今回の「政府調達法」改正内容は、事業者に有利な部分と弊害を除去した部分の大きく2つに分けられます。

事業者に有利な部分としては、主に以下の点が挙げられます。

Ÿ   政府機関が調達作業及び審査グループを設立できるようになった

Ÿ   総合評価落札方式の適用条件の緩和

Ÿ   文化創意、社会福利等に対する「政府調達法」適用の緩和

Ÿ   政府機関の賠償責任の追加

Ÿ   権利停止事業者の手続保障の強化

弊害を除去した部分としては、主に以下の点が挙げられ、政府調達を考えている事業者は注目するに値します。

Ÿ   国家安全に関わる調達について事業者の資格制限条件を規定できること及び審査弁法の新設

Ÿ   職業安全衛生管理機制の強化

Ÿ   賄賂行為に対する処罰の加重

Ÿ   権利停止の事由の追加

 

「政府調達法」の改正内容についてより詳しい情報をご希望の場合には、

当事務所の政府契約専門チームまでどうぞご連絡ください。説明、教育訓練または講義の提供に対応させて頂きます。

 

なお、ご留意いただきたい点として、現時点で既に発生している、まだ確定していない又は発生する可能性のある権利停止紛争について、改正法第103条第3項の規定によると、本法が2019430日に改正された条文の施行前に、既に第101条第1項の規定により通知をしたが、まだ処分が確定していない場合、改正後の規定が適用されることとなります。「政府調達法」の改正条文が2019524日に正式に発効した後、権利停止に関する手続きの保障が更に強化されており、申訴事業者にとってはより有利となりました。

当事務所では、台湾国内において数多くの権利停止紛争のリーディングケースを担当した経験を豊富に有しております。改正された新法の内容に基づき、クライアントの皆様の最大の権利利益を取得するようサポートさせていただきますので、お気軽にご連絡いただければ幸いです。

 

回上一頁