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勇気を出して、安心して通報できるように-「通報者保護法草案」が行政院院会を通過



善意に基づき合理的な証拠を持つ内部者が不正事件を告発することを保護および促進するため、政府機関および民間企業内部における不法行為に有効的なダメージを与えることで、内部者が恐れることなく勇気を出して告発できるよう、法務部が研究・議論して完成させた「通報者保護法草案」が今年52日に行政院院会の審査を通過しました。これは台湾にとって全面的な通報者保護制度の構築という新しいマイルストーンとなります。

 

「通報者保護法草案」の主なポイントは以下のとおりです。

 

(一). 不正事件の範囲は公私部門を含む

 

「通報者保護法草案」(以下、「本草案」といいます。)の定める不正事件の範囲は、公私部門を含みます。公的部門の不正事件の範囲には、公務員の汚職、国民の生活および経済に影響を及ぼすもの、公衆の健康および安全への危害等の公共利益に関わる犯罪および違法行為を含みます。民衆の事情を考慮し、近年社会的注目を集めた公益通報案件類型を統合し、労働、金融、環境、社会福祉、食品安全等を私的部門の不正事件の範囲として挙げています(第3条)。

 

(二). 通報者の適用範囲を拡大

 

保護する範囲を拡大するために、本草案では雇用、請負、委任関係をすべて通報者の範囲に入れています(5)。通報基準は不正行為があると信ずるに足る合理的な事実があるとし、通報者の通報時の具体的な状況に基づいて判断し、客観的に第三者から見ても合理的な疑いを持つのに十分であればよいとされています。ただし、通報者が濫用するのを防ぐために、実名で行うことが要件であると明記されています(5)

 

(三). 段階別通報メカニズムの構築

 

1段階の通報受理機関は内部通報の並行メカニズムを採用します。通報の目的は事後の責任追及に留まらず、より重要なのは事前に防ぐことです。公私部門内で内部調査し改善を検討する機会を与えることができれば、不正行為の発生または拡大を防ぐための助けになります。これに基づいて、本草案では内部管理職、首長またはその指名された人員および検察機関、司法警察機関、目的事業所轄官庁、監察院および政府倫理課を並列して第1段階の通報受理機関とします(4)。また、外部監督機能を持つ議員、メディアおよび公益団体を第2段階の通報受理機関とし、第1段階の通報が上手くいかなかったとき、通報者は第2段階の通報受理機関を通じてもう一度行うことができます(第6)

 

(四). 通報者および準通報者の労働権の保障、報復性のある不利な人事措置の禁止

 

通報者のほかにも、調査協力者、証人となった者および不正行為の決定または実施への参与を拒絶した者を含む準通報者も労働権保障の対象者となり、これらの者への報復を意図する不利な人事の措置は禁止されます (7)。不利な人事措置にあった通報者および準通報者には、独立した請求権が与えられ、復職、未払給与の支払い、人格権侵害の損害賠償等の請求権を含む原状回復および損害賠償を請求できます(7)。本草案は公務員の通報者、準通報者の損害賠償請求権および公務員以外の通報者、準通報者の原状回復および損害賠償請求権について特殊な短期時効の規定を設け、6ヶ月間行使しなかった場合は時効が完成しますが、その他の民事法律の規定に基づく請求を妨げることはありません(9条、第10)

 

(五). 通報者の訴訟の攻防の強化、裁判所の友制度の導入

 

公益に関する通報者の保護は、裁判所が各案件の決定に多大な影響を及ぼすため、法廷の友制度(Amicus curiae)を導入します。裁判所の審理期間に、必要に応じて双方が同意した後、弁護士会、公益団体、業界団体、労働組合、所轄官庁または検察署が、法律および事実の争点について意見表明し、裁判所に事実認定及び法律適用の参考として提出します(9)

 

(六). 通報者の法的責任の減免

 

通報者が受理機関に通報するとき、陳述の内容が国家機密、企業秘密またはその他の法に基づき秘密保持しなければならない事項に関する場合でも、秘密漏洩の責任を負いません(12)。通報者が通報した内容に関わる犯罪の正犯または共犯であり、調査中または審理中の現場で証言し、その供述から検察官が当該事件の他の正犯または共犯の責任を追及でき、且つ検察官が事前に同意した場合、刑事責任の減免の恩恵を享受することができます(13)

 

(七). 通報者の人身安全および身元の秘密保持による保護

 

通報者が捜査中または審理中の現場で証言することを希望するとき、その本人、配偶者、直系親族およびその他密接な関係にある者は証人保護法により人身安全の保護措置を取ることができます(14)。通報受理機関および担当者は、通報者の身元の秘密を保持しなければならず、通報者本人の同意を得ずに、漏洩することはできません(15)

 

(八). 通報者の権利・利益維持の原則およびその例外

 

通報者が合理的に事実だと信じられることから通報し、明らかに事実ではないことを知らなかった、または悪意がなかった場合、調査後に内容が事実に基づいていなかったと判明した場合でも保護を受けることとなります(16)。最初の通報者ではないが、その暴露した内容が最初の通報者と重複していた場合も、保護を受けます。ただし、国家資源の公平な分配を考量し、すでに公開された案件または明らかに暴露されている案件に対してさらなる暴露をした場合は、保護の対象外となります(16)

 

法務部が本草案の推進を始めた当初、当事務所は積極的に各分野の公聴会、研究討論会に参加し、草案の内容および方向性について様々な提案を行いました。今後通報者保護法が立法院を通過した後、通報者保護法の規定により、企業はいかに適切な内部通報制度および通報者を保護する規範を確立するか、またいかに通報案件の内部調査および処置等を行うかという問題に直面することとなります。当事務所は、クライアントの皆様の内部通報制度の確立、内部通報の案件調査をサポートしてきた経験が豊富にございます。この経験を活かして、より完成されたサービスをクライアントの皆様にご提供できれば幸いです。

 

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