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外国人投資条例の一部改正



外国人投資条例の一部改正

近年のクロスボーダー投資の活発化及び国際投資スキームの多様化により、現行の外国人投資条例(以下「外資条例」という。)ではそれぞれの投資取引に適切に対応し、規範とすることが難しくなってきたことを受け、行政院が201913日に一部改正案を決定しました。今回の改正案はまだ立法院で可決されていませんが、正式に施行されれば、外国投資者による台湾への投資のハードルを下げ、外国人投資許可(以下「FIA」という。)の審査を透明化させ、現行の管理措置を強化する効果が見込まれています。

なお、行政院で決定された改正案の内容に基づき、今回の改正の概要を以下のとおりまとめます。

1.         「事後報告制を原則とし、事前許可制を例外とする」に変更(第6条及び第7条)

現行外資条例第8条第1項では、外国人投資(自然人と法人の両方)は、原則として事前にFIA申請を所轄官庁に提出し、その許可を取得した後で初めて実行可能とされています。

今回の改正では、外国人投資について、原則として事後報告制を適用し例外的に事前許可を必要とする形に変更されました。よって、事前にFIA申請をせずに投資を始めることができ、投資してから2ヶ月以内に所轄官庁に報告すればよいことになります。ただし、事後に報告した投資が所轄官庁による審査を受ける必要があると認定された場合、事前許可と同様に別途FIA申請を提出することになります。

一方、以下の要件に該当する投資取引は例外的に事前にFIA申請をする必要があります。

l   投資金額または株式保有率が公告された一定額に達した場合。この詳細ついては別途関連規則で定められる予定です。行政院の公表によると、100万米ドル以上の投資金額または1割以上の株式保有率が想定されていますが、今後の施行状況に応じて調整される可能性があります。

l   ネガティブリストに属する制限業種に投資した場合。

l   外国投資者が外国政府である場合(ソブリンウエルスファンドを含む。)。

l   特定地域の投資者である場合、すなわち、国連に経済制裁を課された地域または反テロリズムに係る特定地域の投資者である場合。

また、現行外資条例第9条第3項では、外国投資者が投資の代金を投資対象に送金した後、送金関連書類を所轄官庁に提出し、FIAの投資額査定申請を行う必要があります。今回の改正では、事後報告制が採用された場合、一回の報告手続きのみを行えばよく、別途FIAの投資額査定申請を行う必要がなくなります。これに対して、事前許可制が適用される場合、今回の改正には影響されず事前のFIA申請と送金した後のFIAの投資額査定申請の両方を行う必要があります。

2.         審査手続きの透明化(第8条及び第9条)

現行外資条例第8条では、FIA申請書類に不備がある場合、所轄官庁が申請者に通知する義務は規定されておらず、また、他の所轄官庁の審査意見を求める場合の審査期間を2ヶ月としています。

今回の改正では、申請書類に不備がある場合、5日以内に申請者に通知し一定期間内に補足することを命じる義務が所轄官庁に課されます。また、他の所轄官庁の審査意見を求める場合、他の法律または法規命令で定められている、より長い審査期間を適用することになります。なお、その審査意見を受けた所轄官庁は前述の審査期間が満了してから1ヶ月以内に決定する義務を課されます。

すなわち、投資者の手続上の利益を保障するため、今回の改正では、所轄官庁の通知義務が新設され、実務上では、他の法律または法規命令を適用し、これにより審査期間が長くなる可能性が明文化され、その場合の審査期限も明確化されました。

3.         罰則の強化(第24条から第26条まで)

現行外資条例第18条では、外資条例に違反したり、所轄官庁が許可した事項を履行しなかった場合は、所轄官庁は当該外国投資者が一定期間内に得た利益の為替取引の権利または投資案及び外資条例で定められている権利を取消すことのみができます。

今回の改正では、事前許可制のハードルを下げた一方、リスクを適切に管理するため、いくつか処罰規定が新設されました。その規定は下記のとおりです。

l   上場会社へ投資する際に、必要書類を提出しなかった場合、関連規則に従って必要書類を処理しなかった場合、または記載事項に虚偽若しくは不実がある場合には、新台湾ドル(以下同じ。)24万元以上480万元以下の過料を課せられ、なおかつ、1年以内の投資の中止若しくは当該投資登記の抹消、又は是正措置を講じることを命じられる可能性があります。

l   申請すべき事項を事前に申請しなかった場合、禁止業種に出資した場合または申請書類に不実の記載がある場合には、12万元以上60万元以下の過料が課せられ、さらに、株主権の停止、投資の中止若しくは撤回、投資対象の営業停止、又は是正措置を講じることを命じられる可能性があります。

l   報告すべき事項を事後に報告しなかった場合、または報告書類に不実の記載がある場合には、6万元以上30万元以下の過料を課せられ、さらに、検査を受けること、投資の中止若しくは撤回、又は是正措置を講じることを命じられる可能性があります。

4.         投資及び中国資金の認定基準の見直し(第4条)

現行外資条例第4条によると、投資とは以下のいずれかの形態を指します。

l   台湾の会社の株式若しくは出資額を保有すること。

l   台湾で支店、個人事業主、またはパートナーシップを設立すること。

l   上記の投資対象事業に対する1年以上の融資。

今回の改正では、台湾における投資対象事業の形態が有限責任事業組合も含まれるようになるほか、台湾の会社とのM&A、並びに契約またはその他の方法で台湾の投資対象事業に対して支配力を得る場合も投資形態とされ、規制の対象になります。従って、投資者が現行外資条例の投資行為のいずれも行わなかったとしても、支配契約を締結したことのみで台湾に投資したと認定され、外資条例の規制対象になります。それが中国資金である場合、別途中国資金の出資関連規制が適用されることとなります。

また、外国の会社が台湾の会社に出資する場合でも、もし当該外国会社が中国投資家と支配契約を締結することにより、実質的に支配中国投資家に支配されていれば、中国投資家が当該会社の株式または出資額の30%以上を直接的または間接的に保有していないにもかかわらず、当該外国会社は中国資金会社と見なされ、外資条例は適用されず、中国資金の出資関連規制を適用されることが考えられます。

そのため、支配契約も投資形態の1つとして新設された今回、投資行為及び中国資金と認定される可能性がより高くなり、中国資金とみなされた場合には、外資規制より遥かに厳しい審査規制を適用されることになります。

 

上記情報についてご質問がございましたら、又はその他の関連法規についての情報をご希望でしたら、お気軽に弊所(お問い合わせ先:朱百強弁護士marrosju@leeandli.com;林莉慈弁護士litzulin@leeandli.com)までご連絡下さい。

 

 

 

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