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IoTとその関連技術の特許について


Audrey Lo/MICHAEL PO-WEN YEN

モノのインターネットInternet of Things、以下「IoT」というはインダストリー4.0Industry 4.0の重要な一環である。IoTIoEInternet of Everything)とも呼ばれる。文言の意味から見ると、全ての物体(モノ)がインターネットを通じて相互に接続される仕組みを表す。IoTの用語は早くは1999年にケビン・アシュトン(Kevin Ashton)氏が初めて使ったものであるが、IoTの用語が使われてからすでに10数年が経過し、現在2018年になってIoTは尚もキラーアプリケーションを生み出していない。したがって、IoT技術はやはり平面媒体の報道、科学技術コラム、又は科学技術産業の発展計画において多く見受けられるだけである。
 
IoT製品はこれまで一般消費者の生活においてまだ深く普及していないため、大部分の民衆はIoT技術についてやはりよく理解していない。実際に、IoTは全く新しいシステムではなく、それは既存技術を組み合わせたアプリケーションモデルで実現されることが多い。IoTは、デバイス層(Device)、ネットワーク層(Connect)、アプリケーション層(Manage)の大きく3つの階層構造に分類される。
Fig.IoTの構造、インターネットより
 
IoTの運用メカニズムを人体のニューラルネットワークに類似するとした人がいる。末梢神経(デバイス層)が各種情報を計測した後、情報はニューラルネットワーク(ネットワーク層)を通して脳に集められ、脳が情報を整理した後、反応と決定を出す(アプリケーション層)。
 
デバイス層は計測、識別及び通信能力を有する設備であり、代表的な技術はRFID及び各種センサー装置である。現在のモバイル通信装置は、通常各種センサー(ジャイロスコープ、加速度計、GPS位置情報システム、気圧計、マイク、カメラなど)を含むため、広義上デバイス層にもモバイル通信装置、ウェアラブル装置などが含まれる。
 
ネットワーク層の技術に関して、使用されるセンサー、相互間の伝送距離及び収集されるデータの類型の違いに応じて、異なるプロトコルを採用することができる。一般的に使用されるネットワーク層の技術には、LoRaZigBee、およびBLEBluetooth Low Energy)が含まれる。下表には、これらの3つの技術の簡単な仕様を示している。デザイナーはアプリケーションのニーズ(例えば、伝送距離、伝送速度など)に応じて、これらの技術の中から適切なものを選ぶことができる。
 
ネットワーク層技術
LoRa
Zigbee
BLE
伝送距離
15-20KM
50-300M
>100M
伝送速度
0.3 kbps -50 kbps
250kbps
270kbps
ピーク消費電流
10-40mA
5mA
<15mA
 
アプリケーション層は、デバイス層とネットワーク層から収集されたデータをいかに活用するかに関するものである。
 
デバイス層、ネットワーク層及びアプリケーション層で使用される技術の進歩はいずれもIoTの進展にとって不可欠なものであるが、アプリケーション層は、IoT製品が一般消費者の生活に浸透できるかどうかを決めるキーポイントであると考えている。なぜなら、誰もがデータを検出、収集、送信する方法を知っているかもしれないが、これらの収集されたデータをいかにして効果的に活用するかを知っている人は極めて少ないからである。
 
特許実務者の観点からは、IoT関連技術の特許は、以下のような様々な分野に及んでいることが想像できるに違いない。
 
 
技術分野
特許可能な対象
アプリケーション層
ホームオートメーション
家庭内の各種設備を対象として集中制御と遠隔操作を実行
ヘルスケア
診断、疾病予防、健康情報のリマインダ
ホームセキュリティ
セキュリティ監視、ペットと子どものモニタリング
オブジェクトトラッキング
オブジェクトのトラッキングと管理
ネットワーク層
通信プロトコル
通信ノード間の情報交換規則
多重化伝送の方式
複数の信号を1つの信号と組み合わせて一つの媒体上で伝送
情報セキュリティ
情報への無許可アクセスを防止
管理
ネットワークにおける異なる設備の電力消費量の管理
デバイス層
識別精度
検出されたパラメータの精度を高め、検出可能な値の範囲を増加
計測/試験装置
特定パラメータの測定のために設計され統合されたセンサー
センサ
耐久性を高め、サイズ、消費電力及び製造コストを削減
 
上述の技術分野における特許の明細書及び特許請求の範囲では、「Internet of Things」又は「Internet of Everything」というキーワードは全く使用されていない可能性がある。さらには、上述の技術分野における特許の国際特許分類(IPCに関しても、IoT関連技術においてよく見られるG06(計算;推計;計数)又はH04(電気通信技術)などの分類が必ずしも付与されるとは限らず、そのIPC分類は、実際に特許で保護されている技術範囲によって付与されることになる。
 
IoT関連技術がカバーする分野は広い範囲に及んでおり、デバイス層、ネットワーク層からアプリケーション層までにわたることから、各層はそれぞれ異なる分野の技術と実施態様が関与している可能性がある。したがって、特許実務者はIoT関連技術の発明を取り扱うとき、明細書の記載、先行技術調査、有効性判断及び権利侵害判断はいずれもより巨視的な視点から、各デバイスから発生するデータの収集、伝送及び/又はコンピューティングコンポーネント、アプリケーション及び/又はフィードバックコンポーネント、及びアプリケーションシステムなどの要因を考慮に入れなければならない。例えば、明細書を書くときには、各国特許法に定める特許適格性要件だけでなく、実施可能な各態様及び権利範囲の実施可能性も考慮して初めて技術は開示されたがその発明を実施できないという苦境を免れることができる。
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