ニューズレター
お知らせ:パテントリンケージ制度に関する台湾薬事法の改正
薬事法の改正
これまで、台湾では、パテントリンケージ(特許連携)制度がありませんでしたが、2016年頃から米国のパテントリンケージ制度をベースとした制度の導入に係る薬事法改正について検討が開始され、米国のTPP離脱の影響により検討が一時中断したものの、2017年12月29日に台湾立法院(日本の国会に相当)で薬事法改正法案の可決に至り、2018年1月31日に総統により公布されました。改正薬事法の施行日はまだ確定していませんが、2018年後半から2019年前半までには施行されるものと見られています。
以下に、今回の薬事法改正の要点をご説明いたしますが、詳細は添付の改正薬事法条文(日本語訳)をご参照ください。
NDA所持者による特許情報の提出
法改正により、NDA(新薬承認申請)の所持者は、その新薬に係る物質、組成物又は製剤、及び医薬用途の特許情報を提出すべき旨が盛り込まれました。
また、NDA所持者は、改正薬事法の施行後3か月以内に、現在の許可済みの新薬に係る特許情報を提出することが必要となり、施行日以降に新薬承認申請の製造許可証を取得した場合は、当該許可証を受領してから45日以内に特許情報を提出することが必要となりました。
現在、台湾食品医薬管理署(TFDA)(日本の厚生労働省医薬食品局に相当)は、将来提出される新薬関連特許情報を円滑に処理するために、当該情報を一般にオンライン公開するシステムの構築を進めています。
ANDA申請者による申告
ANDA(ジェネリック医薬品の承認申請、後発品申請)の申請者は、申請の際に、その基となる新薬に係る特許について、次のいずれかを申告しなければなりません。
1. 当該新薬について、いかなる特許情報も掲載されていない。
2. 当該新薬の特許権は既に消滅した。
3. 当該新薬の特許権が消滅した後に、初めて医薬品製造許可証を発行する。
4. 当該新薬の特許権は取り消されるべきものである、又は当該特許権を侵害していない。
注意すべきは、上記4の場合、リンケージ訴訟の原因、又はジェネリック医薬品に対する製造許可証の12か月間の発行停止の原因となる可能性があることです。
また、上記4を申告するANDA申請者は、特許無効又は非侵害を裏付ける理由と証拠をNDA所持者、特許権者及びTFDAに書面で通知しなければなりません。
それに対し、特許権者が上記通知を受領してから45日以内にANDA申請者に対して特許侵害訴訟を提起した場合、TFDAはANDA申請者への医薬品製造許可証の発行を訴訟の提起日の翌日から最長で12か月間停止します。なお、この期間中もTFDAはANDAの審査を継続します。
また、所定の申請書類の最先の申請者と認定されたANDA申請者に対し、TFDAは12か月間の独占製造販売を許可し、当該期間中は、その他の申請者に対してANDAの医薬品製造許可証を発行しません。
今後の予定
現在、関連政府機関は、パテントリンケージ制度を実施するための施行規則及び詳細な手続きの策定を進めておりますので、新たな進捗がありましたら、随時ご報告いたします。
ご不明な点などがございましたら、弊所弁理士の歐姿漣(tlo@leeandli.com)までお問い合わせください。