ニューズレター
労働基準法施行細則の一部改正案の予告について
労働基準法施行細則の一部改正案の予告について
2018年1月10日に改正された労働基準法(以下、「改正労基法」という。)は、同年3月1日に施行予定となっています。(これに関する当事務所ニュースレターは当事務所ホームページhttp://www.leeandli.com/JP/000000057.htmをご参照ください。)
これを受けて、2018年1月24日に労働部により労基法施行細則改正案(以下、「改正細則案」という。)が公表されました。改正細則案の概要は以下のとおりです。
1. 改正労基法で認められた延長労働時間の上限、シフト制勤務の休息時間及び定例休日(七休一)についての例外規定を適用する場合、雇用主はこれらを周知する義務を負う旨規定されました(改正細則案20条)。
2. 延長労働時間に関して、改正労基法32条では、雇用主は労働組合(労働組合がない場合は労使会議)の同意を得た場合、1ヶ月の上限を54時間にまで引上げられるが、3ヶ月ごとの合計は138時間を超えてはならないとされています。この「3ヶ月ごと」について、連続する3ヶ月を一期間として、暦に従って計算する旨規定されました(改正細則案22条)。例えば、2018年4月1日から開始する場合、6月30日までが最初の期間となり、7月1日から9月30日までが次の期間となります。
3. 改正労基法で認められた延長労働時間の上限、シフト制勤務の休息時間及び定例休日(七休一)についての例外規定を適用する場合、従業員が30人以上の雇用主は所在する地方自治体の所轄機関へ届出る必要があります。改正案では、この届出に関する規定が追加されています(改正細則案22条の1)。
(1) 「従業員が30人以上」という要件について、従業員の人数は、同一の雇用主に雇用され、労基法が適用される労働者の人数に基づいて計算します。
※なお、従業員が30人以上の雇用主は、就業規則の届出義務を負いますが、その人数もこの基準に従って計算されることになります(改正細則案37条)。
(2) 「所轄機関」は、雇用主の主な事務所、主な営業所又は公務所の所在する直轄市、県又は県轄市の政府を指します。
(3) 期限は、遅くとも変更の1日前までに届出なければならないとされています。
4. 残業の代休については、取得方式、使用期限及び代休未消化の場合の賃金支払期限に関する規定が追加されました(改正細則案22条の2)。
(1) 代休の対象については、代休に振り替えられる残業を行った時間の先後により、早いものから消化するとされています。
(2) 代休の使用期限については、期限は「年度」の末日を超えてはならず、「年度」の末日を超える場合は、当該「年度」の末日が代休の使用期限の末日とみなされます。ただし、この「年度」について、2つの案が提示されています。
甲、 労基法24条2項(特別休暇)に規定する「年度」(例えば、周年制、暦年制、又は会計年度制)による案。
乙、 暦年による案。この場合、末日は12月31日となります。
(3) 代休未消化の場合の賃金支払期限については、雇用主は、代休使用期限が満了した場合、給与の支払日又は「年度」終了後30日以内に支払う義務を負います。また、契約終了の場合は、契約終了日に支払わなければならないとされています。
5. 改正労基法では、4週間単位の変形労働時間制の適用対象でなくても、一定の業種については、労働組合(労働組合がない場合労使会議)の同意を得たときは、7日間の周期内で定例休日を調整できることになりました。改正細則案では、この「7日間」について、7日ごとを一期間として、暦に従って計算すると規定されました(改正細則案22条の3)。例えば、2018年4月1日から開始する場合、4月7日までが一期間となり、4月8日から4月14日までが次の期間となります。
6. 改正労基法によれば、年度の終了時に未取得の特別休暇の日数は、労使双方の合意により次年度に繰り越すことができるとされています。改正細則案では、労働者が次年度に特別休暇を取得する場合、優先的に繰り越された特別休暇を取得しなければならないとされました(改正細則案24条の1)。